國立故宮博物院 国立故宮博物院

巧みさが天然をしのぐ服飾工芸

貴州に於ける少数民族の衣装製作工芸は、繁雑であったり、単一工法を施したり、或いは数種の巧みな技を組み合わせたりしており、図案も多様且つ鮮やかで、一見の価値があります。各民族は、染色・刺繍・織物・銀飾り等のいずれも、自らが得意とする技術を有しています。例えば刺繍の精緻さ、染色の巧みさ、織物の真剣味、鍛銀の華麗砂さは、ため息が出るほどの美しく、その智慧の含蓄と美感の趣を充分に呈しています。この他、貴州の少数民族の歴史文化は、完全に同じではなく、伝統衣装の図案も具体的且つ如実に、言語文字では表現しにくい感情や故事、記憶を伝えています。参観の皆様は、この単元をご覧になって、あたかも貴州少数民族の服飾の発展史を読んでいるかのように感じるに違いありません。

松桃苗族の負ぶい紐

1900-1930

Miao baby carrier from Songtao
  • 長さ 66cm
  • 幅 86.5cm

この松桃地区の負ぶい紐の上に、苗人は黒・赤・白の地に刺繍を施し、蝴をはじめ、蝶、ザクロの花と鳥をテーマとして艶やかで、活発な色をアレンジしている。運針法は布の端に刺繍した花や草の図案は平織りを主としている。中央の三角形の木綿の布上の花紋は、紗繍いと鋪絨繍いで、漢族の運針法の影響を受けていることがはっきり分かる。

輔仁大学織品服装学科「中華服飾文化中心」

榕江県興華郷苗族の百鳥衣

1910-1930

榕江県興華郷苗族の百鳥衣
  • 長さ 109.5cm
  • 幅 146.5cm

此件百鳥衣は、地元の苗族の牯蔵節に於いて、先祖を祀る際に身につける盛装である。衣装全体に鳥紋を主とした刺繍が施され、また以太陽紋・雲紋・卍字紋・八角花の飾りもアレンジされている。衣装の裾は刺繍を施した長方形の布がつながっており、先端には羽毛と珠飾りがあしらわれている。刺繍は大量に平織りを使用しているが、鳥の眼は鎖繍で枠を取り、層をはっきりさせている。同時に異なる刺繍布をつなぎ合わせた部分には、千鳥縫いで装飾の彩りを施している。