國立故宮博物院 国立故宮博物院

巧みさが天然をしのぐ服飾工芸

貴州に於ける少数民族の衣装製作工芸は、繁雑であったり、単一工法を施したり、或いは数種の巧みな技を組み合わせたりしており、図案も多様且つ鮮やかで、一見の価値があります。各民族は、染色・刺繍・織物・銀飾り等のいずれも、自らが得意とする技術を有しています。例えば刺繍の精緻さ、染色の巧みさ、織物の真剣味、鍛銀の華麗砂さは、ため息が出るほどの美しく、その智慧の含蓄と美感の趣を充分に呈しています。この他、貴州の少数民族の歴史文化は、完全に同じではなく、伝統衣装の図案も具体的且つ如実に、言語文字では表現しにくい感情や故事、記憶を伝えています。参観の皆様は、この単元をご覧になって、あたかも貴州少数民族の服飾の発展史を読んでいるかのように感じるに違いありません。

苗族花鳥銀帽

清代

苗族花鳥銀帽
  • 長さ 100cm
  • 直径 37cm

この銀製の飾り帽子は、二十世紀中葉、爐山県地区で徴集したもので、当地の苗族青年女子の盛装の頭飾りである。この銀の冠は、黄平県を中心とした毗連凱里市・福泉市・施秉県・鎮遠県等の地の苗族の服飾の代表的なものである。時代の変遷により、銀の帽子にも変化が表れ始めた。例えば、冠の上の羽葉が鳳凰に変わり、また冠の上のピンクの玉房さや花冠正面に下げていた五穀も等も今では使われていない。

貴州民族文化宮

双龍搶宝響鈴銀項圏

清代

双龍搶宝響鈴銀項圏
  • 長さ 52cm
  • 幅 26cm

繁雑な形をした「双龍搶宝響鈴銀項圏」は、黔東南地区を源としており、施洞苗族の女性が盛装時、身につける胸の飾りものである。首飾りの二匹の龍宝を奪い合う図案と垂れ下がった蝴の銀片の飾りの図案は、銀飾鏨花、鏤刻等の技術を用いている。製作は金銀を叩いて薄くのばし、ノミで浮き彫り文様を彫り出す。首飾りの下方は、鈴やラッパ、及び五穀などで飾り、全体的には非常に美しく生き生きとしている。

貴州民族文化宮

菩薩像銀衣片

清代

菩薩像銀衣片
  • 長さ 3cm
  • 幅 1.5cm

この銀製の衣の源は爐山県(現在凱里市轄区に属する。元県治設鎮)から来ており、当地の苗族の女性達の盛装である。元々の銀製の衣は計五十六片の銀片を用い、菩薩像が象られているが、この種の菩薩像の銀片は、現在では衣裳上には使われておらず、苗族の女性の盛装の帯に付けられている。

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侗族銀花帽

清代

侗族銀花帽
  • 直径 23cm
  • 高さ 11cm

この冠は天柱県侗族村寨を源としており、明・清両代に流行した女性用の銀製の冠で、現代流行っている北侗銀冠存の存在とは大きな違いがある。

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顫花銀梳

清代

顫花銀梳
  • 長さ 15cm
  • 幅 21cm

この銀のクシは自榕江県「七十二寨」を源としており、その一派の侗族の青年女性が正装する際、頭部の後ろの髷に付ける飾り物である。内側には木製歯形のクシがあり、下には五穀の鎖が垂れている、両端に一対のピンが繋がっているのが見える。銀のクシの上にある立体装飾の形は五羽の鳳凰が枝の上で戯れている様子を表現している。この種の顫花銀梳は、貴州苗・侗・水等族の髪飾りとして人気がある。

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