巨匠の面影─張大千生誕120年記念特別展,展覧期間  2019.4.1-6.25,北部院区 第一展覧エリア 会場 202,204,206,208,210,212
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張大千の師友

 張大千は幼少の頃から母の張曽益と兄の張善孖から手ほどきを受けて書画を学び始めました。その後、海上派の名家である曽熙と李瑞清に師事して詩文や書画を学び、確固とした基礎を固めました。張家の次男善孖の助力により上海の美術界で注目を集め、優れた新進画家として認められ、その多彩な芸術人生が幕を開けたのです。高名な書画家らと交流し、互いに切磋琢磨する中で、芸術上の風格や審美眼が磨かれると同時に、個人的な名声も瞬く間に高まりました。張大千は生涯を通して家族と睦まじく暮らし、師や諸先輩からも大切にされ、親しい友人らとも競い合いつつ助け合いました。こうした人間関係も張大千が歩んだ創作の道に欠くことのできない役割を果たしました。こちらのコーナーでは、張曽益「耄耋図」や張善孖「草沢巨虎」、曽熙「眉寿無疆」、李瑞清「無量寿仏」などの書画のほか、張大千「萱花」と関連のある尺牘も合わせて展示します。親族と師、友人らの張大千への影響と、張大千の彼らへの思いを具体的かつ詳細にご覧いただきます。

民国 張曾益 耄耋圖

民国 張曽益 耄耋図
  1. 形式:軸
  2. サイズ:70.6x37.4 cm

「耄耋図」は張大千の母─曽友貞(1861-1936)の稀少な伝世作品である。用筆、着色ともに精妙の域に達している。傅増湘(1872-1949)は、黄筌(903-965)と徐熙(886-975)を融合させた作品としてこの絵を尊び、その精神までもが生き生きと描写されており、張兄弟の画芸は母親の啓蒙に基づくものだと指摘している。1982年に李葉霜が張大千にこの「耄耋図」の写真を見せて鑑識を依頼したところ、張大千は写真を見た途端に涙を流し、人づてに諸処へ問い合わせ、この絵を探したという。翌年、沈葦窓(1918-1995)が香港で本作を入手したが、残念なことに張大千はその少し前に世を去っていたため、張大千が望んだ通り、摩耶精舎の中に掛けられることとなった。
民国 曽熙 眉寿無疆

民国 曽熙 眉寿無疆
  1. 形式:軸
  2. サイズ:110.4x80.4 cm

この「眉寿無疆」は、曽熙が1927年に張大千の母親の誕生祝いのために描いた作品である。自身が用いた金文の「眉」という文字の考証が題に記してある。宋代から清代に至るまでの諸家に異議は一切ないが、清末の金石学者劉心源(1848-1917)の誤釈を特に指摘している。張大千は母親に孝行の限りを尽くしたが、師である曽熙も深く尊敬していた。この梅画は簡素な筆致で大まかに描かれているだけだが、張大千にとっては特別な意義があったに違いない。後にこの絵は摩耶精舎とともに国立故宮博物院に寄贈された。
民国 李瑞清 無量寿仏

民国 李瑞清 無量寿仏
  1. 形式:軸
  2. サイズ:105x53 cm

1919年、当時21歳だった張大千は日本から上海に戻り、李瑞清、曽熙の二人と親交を深めた。また、婚約者の謝舜華が若くして世を去ったことを悲しみ、出家して法名を大千としたが、三ヵ月後に還俗した。李瑞清によれば、張大千は李瑞清の絵を非常に好み、紙くずの中から絵を見つけてきては表装していたので、「龍門造像記」の臨書に仏像を合わせた作品を張大千に贈ったという。その翌年、李瑞清は病死したため、大千はこの絵を特に大切にしていた。画中には、赤い衣をまとった仏や、重なり連なる怪石、幹の曲がった老木などが奇妙に歪んだ形で描いてあり、款題の書風に呼応している。
民国 張善孖 草沢巨虎

民国 張善孖 草沢巨虎
  1. 形式:軸
  2. サイズ:137.4x68.6 cm

張善孖(1882-1940)、四川内江(現在の四川省内江市)の人。名は沢、号は虎痴。幼少の頃から母に絵を習い、李瑞清の門下となった。山水画や花卉画、走獣画を得意とした。1917年、弟の大千とともに日本へ留学し、帰国後は上海に寓居した。蘇州の網師園で暮らしていた頃、そこで飼っていた子供の虎の動きを見ていたので、虎の絵は特に完成度が高く見事だった。この絵には、草叢から現れて吼える猛虎が、今にも飛びかかろうとしている姿が描かれており、生き生きとした描写が真に迫っている。
民国 張大千 萱花

民国 張大千 萱花
  1. 形式:額装
  2. サイズ:60x45 cm
  3. 国立歴史博物館寄託

張大千は忘れ草と白い猫をしばしば描き、自分を育ててくれた母への恩を思った。1965年に制作された本作は、没骨花卉のまた別の表現が見られる。右下に見える墨竹から青々とした長い葉、花柄へと続き、上部に橙色の忘れ草が描いてある。左上に行けば行くほど彩度も明度も増し、変化に富んでいる。色鮮やかな蝶ではなく、あえて墨色とした蝶が、花と蝶の視覚的効果を逆に高めているなど、巧みな手法が用いられいている。