覚翁書画─傅狷夫氏ご遺族による寄贈作品特別展,展覧期間 2017/1/25~2017/4/25,北部院区 第一展覧エリア 105、107
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展示概要

 傅狷夫氏(1910-2007)は浙江省杭州市の出身の芸術家です。本名は抱青ですが、傅抱石(著名な画家)との混同を避けて、後に号を狷夫と改めました。このほかに雪華邨人という号もあり、70歳以降は覚翁と号しました。書画に造詣が深く、1949年に来台後は新境地を切り開き、「連綿草」と言われる独特の書体を創出しました。また、絵画では台湾の山岳や雲海、波涛などを題材にした作品を手がけ、「台湾の山水の代弁者」と讃えられました。書画双絶と言われた傅狷夫氏のもとには多くの門下生が集まりました。今日の美術界で活躍する中堅書画家の多くが傅氏門下であり、現代書画界にも大きな影響を与えています。

 民国99年から101年(2010~2012)にかけて、傅狷夫氏のご遺族から傅氏関連の作品234点(書法63点、絵画71点、印章100点)を本院にご寄贈いただきました。ご寄贈いただいた作品は本院で永久的に保管されます。傅氏自筆の書画作品のほか、師である王仁治氏、ご尊父傅御氏と席徳芳夫人の作品、美術界の友人于右任氏と溥心畬氏などが書かれた画室の扁額も含まれます。印章は王壮為氏や呉平氏など、現代の著名な篆刻家の作品が多数含まれます。これらの作品は傅家の家学や師弟間で継承された画技、交友関係、芸術上の成果などが明らかになる貴重なコレクションだと言え、本院収蔵品はより豊かに充実し、故宮と台湾美術界の結び付きも一層強固なものとなりました。また、現代における伝統的水墨画の変遷過程とその枢要も見ることができます。

 本院では、大切な作品を多数ご寄贈くださったご遺族に深い感謝と敬意を表して、「覚翁書画─傅狷夫氏ご遺族による寄贈作品特別展」を開催することとなりました。ご寄贈いただいた作品から書画80点と印章58点を精選し、傅氏が創作活動を行った各時期を網羅する展示となります。「西泠遊子─大陸時代と来台初期の作品」、「大草連綿─新しい書体の創出」、「山水台湾─台湾の風景」、「神契海嶽─水墨の新境地」、「耄耋墨境─晩年の秀作」、「心香伝芳─師承と家学、交友関係」─六つのコーナーに分けて、傅狷夫氏の芸術と生涯の全貌をご覧いただきます。ご逝去から10年目にあたる今年、本特別展を通して傅狷夫氏の功績に敬意を表するとともに、大量の作品をご寄贈くださったご遺族の皆さまに心より感謝申し上げます。