覚翁書画─傅狷夫氏ご遺族による寄贈作品特別展,展覧期間 2017/1/25~2017/4/25,北部院区 第一展覧エリア 105、107
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耄耋墨境─晩年の秀作

 晩年、傅狷夫はアメリカで暮らしました。カリフォルニアの自宅前に2株の樺樹(カバノキ)があったことから、画室は「樺樺草堂」と名付けられました。1992年にフリーモント市(Fremont)に転居し、町の名前との語呂合わせで、書斎は「飛夢草堂」と名付けられました。傅狷夫は生涯を通して途切れることなく創作を続け、老年期にも佳作を発表し、しばしば自らの心境として「棲心覚岸、浪跡芸壇」と記しています。80歳以降の画風は強靭さを増し、より一層自在な筆致が見られるようになりました。「書万壑松風絶句」は細部に捉われず舞い飛ぶような力強い筆致が見られます。「臨石門銘聯」は卓抜した表現力が見られ、早年期に学んだ碑学で培った実力をいかんなく発揮しています。晩年の画作は独特の創意と気迫があり、「黄河」という作品には画面全体に岸辺に強く打ち付ける雄壮な荒波が描かれています。「晨曦」は雲水が交わる中、高潔晴朗な眺めと、光明が燦々と輝くイメージが表現されています。

書松風万壑絶句

  1. 民國 傅狷夫 1991年
  2. 形式:鏡片
  3. 77.2x181.7 cm

 80歳以降の書風は強靭さを増し、より一層自在な筆致が見られるようになった。この作品も細部に捉われることなく、舞い飛ぶかのように力強い筆致が見られる。

書松風万壑絶句

黄河

  1. 民國 傅狷夫 1994年
  2. 形式:橫披
  3. 60x121 cm

 岸に打ち寄せる逆巻く波涛─激しく雄壮な風景が画幅全体に描かれている。



黄河

晨曦

  1. 民國 傅狷夫 1970年
  2. 形式:軸
  3. 121.6x60.4 cm

 雲水が交わる中、高潔かつ清朗な眺めと、光明が燦々と輝くイメージが表現されている。

  

晨曦

書棲心浪跡聯

  1. 民國 傅狷夫 1998年
  2. 形式:軸
  3. 137.5x33.5 cm

 傅狷夫は自身の心境として「棲心覚岸、浪跡芸壇」と書すことも多かった。






 

書棲心浪跡聯