お持ちのブラウザーで JavaScript が有効になっていない場合、当サイトのサービスを快適にご利用できない場合があります。ブラウザの設定で JavaScript を有効にしてください。
宋代皇帝と官員の衣服に大きな違いはありません。しかし、画中に描かれた皇帝の服装を見ると、衿元と袖口からのぞく金糸を織り込んだ内着や精緻な造りの足置き台など、慎ましやかですが、豪奢な美しさが見られます。
北宋仁宗趙禎(1010-1063)の肖像画。幞頭をかぶり、無地の赤い袍服を着ているが、非常に質素な装いに見え、背もたれのある龍椅に端座している。しかし、衿元と袖口からのぞく金色の細かな紋様のある内着や、背もたれに掛けられた織物と足下の敷物の華麗な様式を見ると、この豪華な品々も皇帝にとっては日用の消耗品でしかないことがわかり、権力の頂点に立つ皇帝の日常がうかがえる。
宋宣祖后(902-961)は、宋代開国の君主趙匡胤(927-976)の母親杜氏である。その他の宋代皇后が褘衣を着ているのとは違い、宋宣祖后は淡い黄色の外袍をはおっており、小さな真珠で縁取りされた鳳紋の霞披(肩にかける装飾品)の華やかさを一段と引き立てており、模様を織り込んだ、半透明の裙擺が画面の外まで長々と伸びている。この貴重な后像は、宋代后妃の暮らしぶりに関する今日の認識や理解を深めてくれる。
南宋光宗后李鳳娘(1145-1200)の肖像画。コンマのような形の眉がかなり特徴的な容貌で、独特の肖像となっている。大小の真珠で造られた龍鳳花釵冠を戴き、顔には珠鈿を貼り付け、最も格式の高い皇后の礼服─藍色の禕衣を着ている。禕衣は五彩雉雞紋で装飾されており、腰から2色の大帯が垂れ下がっている。高い背もたれのある椅子に腰掛けた后が右向きに描かれているが、これは北宋末期から南宋まで継続された、皇后坐像の標準的な様式である。
歴代后妃は大きな影響力を持ち、垂簾聴政を行った者も多く、実際に軽視できない権力を有していた。