帝后像に見られる「権力のかたち」
皇帝と后は強大な権力を有していましたが、その面立ちからそれを知ることは難しいでしょう。しかし、肖像画の皇帝と后を見ると、立像であれ、坐像であれ、荘重な雰囲気や端正な容姿から、慎重かつ的確に物事を判断する能力が備わっているように見えます。落ち着きのある威容は帝后像に見られる「権力のかたち」の一つです。
歴代帝后の装束は礼服や常服など、様々な種類がありますが、これらの服装はその身分を明らかにする最も直接的な方法です。帝后のみ着用が許された服飾も帝后像に見られる「権力のかたち」の一つです。
巨大な権力は強大な消費力を伴うことが多く、豪奢な高級品の数々も高貴な身分の彩りとなっています。絢爛豪華の極み─これもまた帝后像に見られる「権力のかたち」の一つです。
象徴的な符合を用いて、その身分を明らかにすることもできます。帝后が着ている袍服の太陽や月、星、龍などの紋章は、本来はその人徳や能力の高さへの期待と賞賛の意味が込められていたものですが、後に象徴的に権威を示す符号─権力のシンボルとなりました。これもまた帝后像に見られる「権力のかたち」の一つです。
きめ細かな画絹に不純物が一切ない顔料で複雑細緻に色が重ねられています。これは素材と画工に費用を惜しまず、完璧な仕上がりを求めたことを示しています。最上級の材料と最高の画工─これもまた帝后像に見られる「権力のかたち」の一つです。