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元代皇帝と后は半身像しか残されていませんが、モンゴル伝統の冠服の様式が見られます。歴代帝后の服飾の中でもかなり特徴的なので、判別しやすい服装です。
元世祖忽必烈(フビライ,1215-1294)の肖像画。帽子の下から髮茬が見え、耳の後ろに環にした3本の辮髪が垂れ下がっている。モンゴル族の一般的な髪型である。白い衣服に華やかな装飾はなく、これといった特徴は見られない。
この肖像画は主に顔料の明暗により五官の起伏が表現されているが、これはネパールの画家が使う技法である。漢族の伝統的な画法以外を選び、民族衣装を身に付け、地域も民族の違いも超えた、複数の民族を束ねる統治者のみが持ち得る強大な権力を示している。
右幅は名前のみで、左幅の題籤は空白となっているため、后妃の身分は確定できない。高く聳える姑姑冠と華やかな衣装からのみ、その高貴な身分がうかがえる。
本特別展では四幅の后像を展示する。額を覆う布地は真紅のほか、珍しい半透明の羅紗も使われている。姑姑冠は色とりどりの宝石や真珠で作られた花蝶の模様で彩られており、冠の最上部に五色の羽根飾りが付いている。皇后が身にまとった衣服は金糸を織り込んだ色鮮やかなもので、それぞれ色が異なっている。モンゴル皇室の豪奢な暮らしぶりがよくわかる。