風格と風景
実景が画作の風格を決めるのでしょうか。それとも、画風自体が「眼前にあるかのような」感覚を生み出すのでしょうか。元代の呉鎮(1280-1354)が描いた「嘉禾八景」という作品には、意図的に簡略化した物象と大きく残した余白で、嘉興付近の景勝地8ヶ所─橋や渓流、塔や寺が雲霧の中に見え隠れする風景が描かれています。嶺南派の画家関山月(1912-2000)の「貴陽花谿図」には、複雑な筆致や連続性のある構図で貴陽市の花谿公園が描かれています。まるでその場にいるかのように、緩やかなカーブを描く渓流沿いに園内の風景が堪能できます。前者は宋代以来の「瀟湘八景」という様式を用いており、後者は西洋の遠近法を思わせる手法で空間が構築されています。実景を描く際、どの種の伝統的画風や様式を用いれば、より適切な描写が可能となるのでしょうか。