身体の変異
人面獣身_獣面人身
明代の本草学者の李時珍(1518-1593)は『本草綱目』の「人部」に附した「人傀」という文中で、人が物に転じ、物が人と化し、人が虫獣を生み、獣が人を生み出すなどの「物怪」という奇妙な現象について記しています。『三才図会』には『山海経』を基礎として、獣面人身や虎首人身、人面魚身、人面蛇身などの絵図が描かれています。西洋にも似たような表現方法が見られます。本展では、バチカン図書館(Biblioteca Apostolica Vaticana)所蔵の画集から人面魚身と獣面人身の画像も合わせて展示します。これらの絵図は古代の人々の身体に対する「正常」と「異常」の認識や基本的な概念を示しており、多くの場合、その背後には神話的色彩が感じられます。
病気の身体
古代の人々は病体を様々に解釈しており、天干と地支と結び付けた「五行盛衰図」を通して五臓六腑や時間と疾病の間にある深い関わりを探究しました。また、内臓の状況が顔色に現れることに注目し、「観形察色図」に見られるように、人体の外観と健康の関連性を強調しました。更には人の顔形で話をしたり、物を食べたりもする人面瘡や、男女ともに罹患する可能性のある乳廱も絵図で表現したほか、動物のイメージを使って様々な「翻症」(清代の疫病の呼称)に名前をつけたりしました。このほか、舌の状態から身体に隠された症状を知る『傷寒舌鑑』もあり、多種多様な病体が絵図で表現されました。