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展示概要

私たちは「身体」を持っていますが、よく知っているようで知らないこともたくさんあります。身体は理解するのが難しいだけでなく、時間の経過とともに進化や変化を遂げ、多様な観点が生まれてきます。生物学的な構造以外にも、身体を観察する上で考慮すべき点が多々あります。私たちの身体は私たちが暮らす社会と密接な関わりがありますが、この社会は医療や宗教、文化、法律など、社会的に認められた仕組みによって構築されています。身体はそうした仕組みの働きに依拠しているのみならず、その影響や支配も受けており、規則を遵守し、社会的規範に従わねばなりません。しかし、その過程において私たちは自分の身体をある程度自由に動かし、コントロールする能力を有しており、社会の既存のルールや制度の全てに従うわけではありません。

この度の展覧では、本院所蔵の古籍や器物、絵画など、多種多様な収蔵品から精選した文物に見られる絵図を通して、医療や宗教、文化、法律など、様々な面から文物自身に身体というものを改めて解釈させます。本展は「身体を見つめる」・「身体を鍛える」・「身体の変異」・「身体の規戒」─4章に分けて展示を行い、医学と法医学、仏教と道教など、異なる文化的背景における身体観についてご覧いただきます。また、武術や房中術、秘戯、舞踊、体育、導引など、身体の鍛錬法に加えて、人面獣身と獣面人身、障害を持つ身体、政治や礼教、刑罰による身体の束縛にも注目し、古い時代の身体に関する様々な描写や表現についてもご紹介します。

古代の人々が身体をどのように捉えていたのか、古代人の身体への理解や想像について、ご観覧の皆さまにも考えていただければと思います。そこから一歩進めて、私たちが自分の身体についてどのように考え、どのように捉えているのか、そして自分の身体に備わっている様々な知覚機能について、改めて見つめ直す機会になればと思います。それにより私たちは身体が表す意味を理解し、自分の身体の謎を解き明かし、絶えず変化する世界における人間の存在意義を見出すことができるでしょう。

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