丹青誌異
溥心畬の作品中、妖怪や小鬼は最も特殊な題材です。来台以降、日頃から『西遊記』や『聊斎志異』、『山海経』などの小説を愛読していた溥心畬は、それらを題材にした絵で世人を風刺することもありました。そうした作品には、ユーモラスな表現が見られるだけでなく、深甚な寓意が込められていました。この度の特別展で展示される「鬼趣図」、「西遊記」、「太平広記故事」、「神異図」は小さな作品ですが、清雅な趣が一際強く感じられ、新鮮な感動を覚えます。
このほか、こちらのコーナーでは神祇類の画作も展示します。軸装の鍾馗や観音、嫦娥、魁星、寿星、関公など、着色画や墨画、朱筆、白描など、いずれの作品も極めて優美な筆致が見られ、ありとあらゆるイメージが表現されており、溥心畬の伝統的人物画に対する幅広く、奥深い理解と表現力が充分に感じられます。