宝島采風
溥心畬は台湾の台北市に定住していましたが、絵画を教授する傍ら、台湾各地の名勝を観光して回り、大量の写生作品を残しました。
伝統に深く根ざした画家にとって、写生は必ずしも規則正しく行うべきものではなく、眼前の景色を模擬的に再現し、物体の形状や本質を捉えたのみならず、用筆の健やかな力強さや着色の清雅な趣がそのまま維持されています。題材は風景や人物、果実、花卉、動物などがあり、「玉峰雪景」や「番人射鹿図」、「魚蝦」冊、「菜蔬」冊、「変葉木賦」、「画海石」など、力作も含まれます。また、創作に励む一方で、各作品に題記を加えるのも怠りませんでした。風景の描写を通して思いを表現した作品は、何者も到達し得ない清逸さと自由な気風が突出しています。