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雅集の典範

 永和9年(353)3月、王羲之は浙江の会稽山にある蘭亭に友人たちを招いて修禊雅集を催しました。この雅集は当時の著名人が一堂に会した盛事で、「天下一の行書」として名高い「蘭亭序」もこの雅集で書かれたものです。唐代の皇帝が王羲之と士人らの交流文化を偏愛したこともあり、蘭亭での集いは次第に他の雅集を超えて、典範的な地位を獲得するに至りました。宴席に勢揃いする名士たち、曲水流觴、競詩罰酒などの催しも含めて、後の時代に雅集を行う際の理想的なモデルとされました。

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  • 宋拓 定武蘭亭真本

     王羲之「蘭亭序」の原蹟は失われてしまったが、臨模本と拓本は数多く残されている。拓本の一種である定武蘭亭は、刻帖の中では最も水準の高い版本である。この作品は伝世する定武蘭亭の完全な拓本で、宋人と元人による鑑蔵記録も残されている。元文宗の鑑蔵印と題跋は、この作品が元代に何回か行われた重要な集まりで観覧されたことを意味している。

     本作は模写や刻石、拓印など、幾度も複製されているが、王羲之の手による滑らかな筆致の行書とその美しさが見て取れる。

  • 明 李宗謨 蘭亭修禊図

     王羲之が蘭亭で宴を催したのは4世紀で、その時に書法の名蹟「蘭亭序」が世に残されたが、蘭亭図が登場したのは9世紀になってからである。現在も広く知られているのは(伝)李公麟作「蘭亭修禊図」の刻石拓本で、川を臨む東屋から始まり、緩やかな弧を描く川の両岸に座る参加者の姿が見え、その傍らに人物の名前と身分、詩文が記されている。この絵の内容を見ると、この系統に属す作品だとわかる。

     画中の人物はいずれも丁寧な筆致で描写されており、着色にも秀雅な趣がある。各場面の内容も豊かで、観賞の楽しみを増している。

  • 宋 李公麟 苦吟図

     三人の文士が机を囲んでいる。巻物を手に机にもたれて何やら口ずさんでいる者もいれば、筆を手に考え込んでいる者もいて、頬杖をつきながら机上の白紙を見つめている者もいる。創作に必要な霊感が足りず、なかなか筆が進まずに苦悩している様子が伝わってくる。全体に滑らかな線で描かれており、人物には繊細な雰囲気がある。旧籤の題には李公麟とあるが、画風から判断するに、明代の人物の手による作品だろう。

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