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展示概要

 今日よく知られている晋唐代の名士の逸話は、後の人々が想像した風流人の典型例で、「七歩成詩」や「東山高臥」、李白と「清平調」などが例として挙げられます。これらの故事は文芸的な素養を匂わせつつ表現されます。琴・棋・書・画の四芸は個人的な修養というだけでなく、この四芸を通して文士らが交流する際─詩文の唱和や酒宴など、各種各様の集いにおいて風雅な印象が形作られます。こちらのコーナーでは、晋唐代に名を馳せた人物にまつわる故事から、「雅集」の起源についてご紹介します。

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  • 宋 緙絲 謝安賭墅図

     この作品は淝水の戦いを背景としている。押し寄せる敵の大軍に対峙した謝安(320-385)は余裕綽々で、容易く事をおさめたという。二人の人物が格調高く豪奢な居室で将棋を指している。遠方に建物の一角が僅かに見え、この別荘の敷地が広大であることをうかがわせる。腕を伸ばしている黒衣の人物は謝玄である。木製の履物に足を載せている謝安が、今正にこの対局で勝利しようとしている。それと同時に前線からも戦勝の知らせが届けられた。

     この緙絲作品は技術面だけでなく、人物の表現方法も宋代の作品とは異なるが、歴史上の出来事が詳細に描写されていることから、古い図像を元に制作された可能性もある。

  • 清 冷枚 春夜宴桃李園

     李白(701-762)の「春夜宴桃李園序」を題材とした作品。満開の桃李で彩られた庭園で催される夜宴の様子が描かれている。一献傾けながら詩を詠む文士や子犬をじゃらす仕女、酒を盗み飲みして居眠りする童僕などがいて、楽しげでなごやかな雰囲気に満ちている。この序は夜宴の場で李白が即興で書いたもので、心地よい一時や、季節ごとの楽しみの大切さを伝えている。

     冷枚は清代康熙朝と乾隆朝に仕えた宮廷画家で、宮廷の庭園を描いた風景画や人物画に優れていた。この作品は謹厳な線に濃厚な色彩が使われており、清代宮廷絵画の繊細かつ華やかな風格を示す典型的な作品である。

  • 清 董邦達 灞橋覓句

     唐代の鄭綮(9世紀後半)にまつわる「灞橋詩思」の故事を元にした作品。詩人が雪の舞う山林で創作の源となる霊感を求める情景が描かれている。

     苔点で表現された真っ白な雪は、雪景の静けさや寂寥感へと転化され、満開の梅の花とともに灞橋付近の賑やかな眺めを作り出している。ロバに跨り道を進む文士の後ろに従う童僕は酒と梅の枝を担いでいる。この絵に作詩の苦悩は見い出せず、遊賞の楽しみに満ちている。

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