奏摺(そうしゅう)とは、清朝の官員が地方政務の報告やご機嫌うかがいのために皇帝に進上した文書です。奏摺の制度は康熙の時代に推進され、雍正年間に確立、乾隆以降には正式な制度として定着し、君臣間の重要な意思疎通の媒介となりました。奏摺の内容は地方政務、軍事戦争、民情風俗、農業や経済、治安や教育、および皇室の内政、人事の任免など広範にわたり、清代の重大な事件を知るための重要な史料となっています。本博物院は清代の奏摺文書を大量に収蔵しており、中でも「硃批」(しゅひ)と呼ばれる皇帝が奏摺に朱筆で入れた指示や意見は、皇帝の性格や施政方針を反映しているばかりでなく、皇帝の書風も存分に表れています。