文物紹介
『活計档』の乾隆21年8月15日の記録には、「伽楠香螭虎龍尾觥一点、錫屜匣に収納され、屜下に蜂蜜が入れてある。伽楠香木は錦屜と錦袱に包まれ、上等として乾清宮に収蔵された。」とある。収納容器と香りを保つ方法が文献の記述と一致している。この香木の油分の出かたは、木材本来の外見とは異なっており、樹脂化と言えるかもしれない。この器形は前漢の角形玉杯の形状と紋飾を模倣したもので、全体に透かし彫りと浮彫りを用い、鳳紋や螭紋、龍紋も組み合わせてある。鋪首の上に「乾隆年製」の楷書款が刻されている。重要な倣古の装飾品である。後に錫匣が付けられ、款識を入れて乾清宮に収蔵された。