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内府瑯玕-琺瑯・法器

金属器は工芸品の中の貴族と言われています。中でも金属地に琺瑯釉薬を塗って焼成された琺瑯器(七宝焼き)は、明清時代には重要な金属器類の一つとされました。掐絲琺瑯(有線七宝)の製作技術は元代の頃に西洋から伝わり、明代の景泰年間に最盛期を迎えたため「景泰藍」とも呼ばれています。清代は画琺瑯器の発展が最も際立ち、康煕・雍正・乾隆の三朝がその製作に力を傾注しました。康熙時代には宮廷の造弁処がヨーロッパの職人の指導を得て、西洋の作品と美しさを競い合う琺瑯器を製作。乾隆朝では各種琺瑯技術を融合させるだけでなく、中国と西洋の装飾文様を結合し、中華文化と西洋文化の新たな交流が繰り広げられました。

明 万暦 掐絲琺瑯双龍文皿

明 万暦 掐絲琺瑯双龍文皿


明 掐絲琺瑯鳧式炉

明 掐絲琺瑯鳧式炉

琺瑯器は釉薬を金属の素地に焼き付けた工芸品である。中でも掐絲琺瑯(有線七宝)の歴史が最も古く、銅線で囲んだ部分に各種釉薬を乗せて繰り返し焼き付けた後、表面を磨き、鍍金を施して完成させる。元代に西洋から製造技術が中国に伝わり、明代の景泰年間に最盛期を迎えたため「景泰藍」とも呼ばれる。

この香炉は首をもたげた鳥を象っており、香煙は鳥の首を通って口から立ち上るようになっている。くちばしと足、水かき以外は全身に有線技法が用いられ、金属線の枠内に埋めた各種色彩の釉薬や上絵付けなどで羽毛を表現している。上部台座にも同じく有線技法で纏枝菊花文があしらわれ、金メッキが施された下部台座は後に加えられたものと思われる。底部中央に陰刻された「甲」の字は、乾隆年間に文物に付けられた評価鑑定の印である。動物をモチーフにした琺瑯器は明代の中晩期に登場し、琺瑯器の形をよりバラエティに富んだものにした。