精選文物と参観路線
親愛なる日本の皆様:
故宮博物館は、この度、日本から修学旅行でご来台する皆様のために、特別精選した文物と参観路線を設けました。14点の人気のある文物の他、文物と日常生活および日本文化との繋がりを通して、文物の知識を学び、更に興味を沢山抱いて頂きたいと思います。この度、新たに設けたルートは、三階の青銅器展示室から始まり、次いで玉器と陶磁器の展示室を経て、最後は一階の集瓊藻陳列室で、解説時間は約60分です。参観の皆様が、ゆったりとしたお気持ちで故宮の旅をなさることを期しております。
- 参観時間:約60分
- お薦めの団体:学生旅行・卒業旅行等
- ルート企画說明:修学旅行に参加されている方は、このルートで、3階から1階まで、計14点の故宮常設展の精選品を鑑賞されることをお薦めします。
展示作業により、陳列室、或いは展示品が変更される場合がありますので、参観なさる当日の情報をご確認ください。(故宮の公式サイトをご確認下さい)
玳瑁嵌珠宝花卉指甲套
- 清
- 西暦1644-1911年
清の時代、「旗人」と呼ばれる上流階級の女性の大多数は、手の指の爪を伸ばしていました。爪を保護するため、美しい指甲套(しこうとう)を付けました。自分の一挙手一投足に美と艶やかさが添えられました。
この指甲套は玳瑁(たいまい。ウミガメの一種)を彫刻したもので、黄褐色で光沢があります。表面に彫られた花びらと枝葉は、薄桃色の碧璽(トルマリン)、真珠、点翠、翡翠を嵌め込んだ装飾で、極めて華麗です。
中国では、古代の女子は爪を伸ばすことで身分や地位を表現していました。清朝では、后妃は爪の長さを重視するだけでなく、爪を保護するために付ける指甲套に施された装飾の美を競い合い、後宮における自分の地位を誇示したのです。
古代の人は自分を美しく見せるための化粧に懸命で、その熱意は現代人にも引けを取らないほどでした。
水晶の爪を作るだけでなく、それに美しい油を塗り、さらにさまざまな装飾を施して流行の先取り、美の追求に取り組みました。
皆さんは龍がどこにいるかお分かりですか?まず黒い眼を探してみてください。龍の姿が見つかります。注意深く観察すると、これらの小さな龍は「しらす」に似ていると思いませんか? おいしい「しらす丼」が頭に思い浮かびませんでしょうか?
珊瑚魁星点斗盆景
- 清
- 西暦1644-1911年
植木鉢の中央に立っている魁星は、赤珊瑚で造られています。伝説によると、魁星はもともと学問好きな読書家でしたが、醜い容貌が災いして科挙に合格できず、ついに悲憤のあまり入水自殺を試みましたが、鰲魚(ごうぎょ=伝説上の大きな海亀)に救われました。その後、魁星は北斗七星の第一星に変わり、科挙の合格や仕官の道の運を司るようになりました。
この文物は、清の宮廷で流行した吉祥の盆栽です。翠玉鰲魚の頭上に立つ魁星は左手に真珠と赤い宝石で装飾された梅の枝を持っています。これは、一位を示す最も素晴らしいイメージを表しています。玉製の植木鉢の四面にはそれぞれ5匹ずつ、色が異なる宝石で描かれた蝙蝠(コウモリ)が「壽」の字を取り囲んでいます。この図案は「福寿」(中国語で蝙蝠の蝠と幸福の福の発音が同じ)の象徴です。
植木鉢の内部には真珠、点翠などによって花や石、波などの装飾があしらわれており、単に華麗なだけでなく、吉祥の寓意も含まれています。
日本は台湾と同じく進学のための受験競争が非常に厳しく、一発合格、更には優秀な成績での合格が受験生の努力目標です。福岡県の著名な観光スポット「太宰府天満宮」は日本で最も重要な神社の一つで、日本人から学問の神様として尊崇される菅原道真(845-903年)が祀られており、日本各地より学生が訪れて、合格を祈願します。
それぞれの国にはそれぞれの信仰と心の拠り所がありますが、試験に合格し、人より抜きん出ることを望み、その達成を目指して心から神に祈願する点については、どの国も同じですね!