ともに祝う三節
「節令」には伝統的な智恵や暮らしの楽しみが反映されています。『清史稿・礼志七』によれば、順治8年(1651)に元旦と冬至、万寿節が三大節と定められました。歴史的な周期と自然の移り変わりに従って毎年行われた正月の朝会、冬至の祭天、万寿節などの催しには、清朝の人・地・時の環境変化への対応や、代々伝えられてきた人間と自然の交わりが反映されています。
万寿
- 金聖寿無疆如意
- 清
金如意上部の中央に寿星(南極仙翁)の装飾があり、その周りを鹿や鶴、蝙蝠、祥雲などが取り囲み、福・禄・寿を象徴している。柄の中央に「五蝠捧寿」の装飾が施されており、その周囲に楷書の「聖寿無疆」という文字が配されている。下部は寿山福海紋で飾られ、柄には「寿」という文字を連ねた装飾がある。裏側に貼られた黄絹籤には「子皇帝臣溥儀跪進」と書いてあり、宣統帝が隆裕皇太后の誕生日に贈った如意だとわかる。
- 天章演範宝典福書、元音寿牒
- 清乾隆五十五年
- 清 金簡
「天章演範」2冊は乾隆55年(1790)に制作された。乾隆帝80歳の誕生祝いの前に、詞臣の金簡が長寿を祝うめでたい印記を集めてまとめたもの。
- 万寿盛典初集
- 卷四十二
- 清 王原祁等奉敕撰
- 清康熙五十六年武英殿刊本
清代康熙52年(1713)、康熙帝60歳の誕生日を迎えるにあたり、官吏の奏請により慶典をまとめた『万寿盛典初集』が編纂された。
- 清乾隆朝内府泥金写本蔵文甘珠爾経
- 清乾隆三十五年内府泥金蔵文写本
乾隆35年(1770)7月25日に完成したチベット語の『甘珠爾』泥金写本(計108函)。第1函の序文を読むと、この様式は康熙朝で制作された『龍蔵経』写本を踏襲したものだと知れるが、若干の違いも見られる。乾隆35年から36年にかけて、乾隆帝60歳、孝聖憲皇太后80歳の誕生祝いに合わせ、承徳避暑山荘の傍らに布達拉宮(ポタラ宮)を模した普陀宗乗之廟が新たに建立され、北京黄寺と功徳寺も修築された。この『甘珠爾』も長寿の功徳を祝うために制作されたものと考えられる。
- 葡萄牙賀慈禧七旬万寿国書
- 清光緒三十年九月二日
- ポルトガル王カルロス1世 (CarlosⅠof Portugal)
光緒30年(1904)、慈禧皇太后70歳の誕生日に、ポルトガルの駐北京参賛署理公使ダルメイダ(Gabriel D’Almeida Sanctos)は国王カルロス1世(CarlosⅠof Portugal, 1863-1908)に代わり、紋章付きの銀製箱に収められた国書を届け、皇太后の誕生日を祝った。