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 大型と中型、小型多宝格の開架式陳列法からは、楽しみを分かち合いつつ、適切な方法で収蔵したいと考えた収蔵家を満足させるものだったことが見て取れます。これは「蔵」が改めて解釈されたものです。当時の開架式陳列法を復元し、空間設計や材質の扱い方から、古代の空間設計士がどのようにして銅や磁、玉、珍─各種の古玩を最適な方法で収蔵したのかを見てみましょう。収蔵品の展示だけでなく、その場の雰囲気にもふさわしい、収蔵はもちろん、装飾性も備えた多宝格です。

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    • 清 乾隆 多宝格
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    • 清 乾隆 多宝格
    清 乾隆 多宝格

    清 乾隆 多宝格

     この文物は『陳設档』に記録がある。養心殿東暖閣にあった「博古格」は南北2面の壁を使い、1面に2架の棚がこしらえてあり、計4架の棚があった。この度の特別展で展示するのは、北面の二つ目の棚に陳列されていた文物で、当時は149組の文物があった。これらの文物のサイズから推測すると、「博古格」はかなりの大きさがあったと思われる。実際、この種の開架式陳列棚には、磁器や玉器、銅器、漆器などの材質の文物が含まれ、乾隆帝がよく用いた方法で包装され、様々な材質で作られた台座も付けられている。ここでは本来の陳列方法とその概念を模倣し、大型の多宝格にしてある。事実、清代宮廷の主要な宮殿の全てに、このような大型の陳列棚がしつらえてあり、装飾と収蔵が同時に行われ、それらが「多宝格」と総称された。

  • 清 乾隆 中型多宝格

       紫檀製の箱の3面が書画で装飾されている。全ての棚の内側には錦布が貼られ、外側はガラスを嵌めた木枠があり、ほぞで固定されている。公文書によれば、棚の両側に「円」、「方」という字が書いてあり、絵の巻物(横披)が一巻あったという。内部の陳列物を対照すると、乾隆11年2月に完成した「紫檀木鑲字画小格」と考えられる。乾隆年間は陳列棚にガラスを用いていたことがわかる。陳列用の大型棚の多くにガラスが用いられ、文物がより良い状態で保存されていた。

       公文書の記録によれば、この紫檀製の棚は潄芳斎の静憩軒に置かれていたという。その上に銅口の「猫食盆」が置いてあったようだが、それは本院が所蔵する銅口の「汝窯青磁水仙盆」だろう。台座には「静憩軒御賞」と刻されている。このような展示用の棚に陳列されていたものの多くは名品だったことが知れる。

      • 清 乾隆 紫檀木鑲竹絲転盤格子
      清 乾隆 紫檀木鑲竹絲転盤格子

      清 乾隆 紫檀木鑲竹絲転盤格子

       これは乾隆31年(1766)の『活計档』に記載のある「紫檀木鑲竹絲転盤格子」で、当時、木製台座と手巻冊頁を組み合わせるようにと求められていた。外観はごく細い竹ひごの上に番蓮紋が貼り付けてある。閉じると円柱形になり、開く時は円柱を四つに分けることができる。表面には竹黄が貼ってある。開いてから一列に並べて展示することができ、重ねると四角柱になる。工匠は4分割された円柱の空間を巧みに生かして、陳列空間が複雑に交わる、面白み豊かな小型の棚を作り出した。この小さな棚に収められた全ての玉器には、それにふさわしい木製台座が付いている。右から左に数えて、1と3の棚は伝統的な木彫で装飾され、竹黄が貼られた引き出しがあり、玉器と書画が収納されている。2と4は西洋の旋盤で様々な装飾支柱を作り、円形の回転盤としている。それに西洋の建物を描いた円弧形のガラス絵を合わせ、そこに置かれた玉器を回転させながら観賞できるようになっているため、「転盤格子」(回転棚)と称される。棚の大きさに合わせて選ばれた玉器に、各種の優れた手工芸が結び付けられている。見事な空間配置によって、紫檀と竹黄を用いた、高低異なる小さな棚から、乾隆年間の工匠たちの豊かな発想や工夫が見られるだけでなく、宮廷における古玩陳列の最良の範例にもなっている。

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