収
展示作品の中で、名前のある多宝格は「収」の概念が強調されています。箱という限られた空間に異なる材質の小さな古玩をまとめて収納し、そのコレクションに一つの名前を与えたのです。これらの名前は読みにくく、わかりにくいものですが、どの名前にも美しい玉を表す文字─瓊や琳、天球などの字が使われており、これらのコレクションがどれほど大切にされていたのかがわかります。また、この名前は収蔵者が一つの箱にまとめて収納した貴重な宝物の代名詞にもなっています。
清 乾隆 「集瓊藻」多宝格
お気に入りの玩具に名前を付けたことがある人も多いだろう。清代の乾隆帝も例外ではなく、骨董品の収蔵を好んだ乾隆帝は、ミニサイズの様々な古玩を集め、漆塗りの美しい盒(蓋付きの箱)の中に構造の異なる引き出しや小箱を作り、そこに古玩を収納した。このように盒にまとめて収納された古玩は、一般に「百什件」と言われる。
当時、名前のある「百什件」が九つの盒で作られ、一つ一つに違う名前が付けられた。どの盒にも中に収納された古玩の目録が入れてあり、各文物が盒内のどこにあるかが記されている。この目録は「名色摺子」と言われる。
収蔵と運搬がしやすいように形を統一した外盒を作らせ、貴重な紫檀に象牙を象嵌した模様で装飾し、蓋の上部に名前を彫り入れた。こちらに展示されている多宝格は「集瓊藻」と言い、宝の箱を開けて、宝探しをしているような気分になれる。
清 乾隆 「天球合璧」百什件
小さな古玩が宝物を隠すかのように収納されているのが「百什件」の特別な点で、その外箱もまた目を楽しませてくれる。当時は漆盒を外箱とするのが流行していた。こちらにある2点は、一つは金銀粉で模様を描いた、日本の蒔絵という漆器で、もう一つは器物の表面に模様を彫って金漆を埋め込んだ、伝統的な戧金漆盒である。
このほか、「百什件」全体に象牙象嵌で装飾した紫檀の外箱を統一して用いており、外箱の蓋にはこの「百什件」の名称が刻されている。こちらに展示されている盒の一つは「天府球琳」、もう一つには「天球合璧」という名がある。この二つの名前はどちらも「玉偏」の漢字が使われている。玉のように美しく、好ましいということだろう。
紫檀の外箱は精巧に設計されている。古玩を収納する際は蓋を開けて、側面の板を引き出してから底板も引き出し、内箱を底板に載せれば、底板と一緒に箱の中に収納できるようになっている。