メインコンテンツへ移動
:::

展示概要

 「多宝格」は国立故宮博物院で最も興味深い所蔵品です。面白いのは、多宝格には様々な形態がある点で、異なる材質で作られた小さな古玩(骨董品)が箱一杯に収納されていたり、いろいろな古代の器物が壁面全体に備え付けられた、装飾用の大きな棚に収納されていたりします。多宝格は多種類の素材が用いられているだけでなく、空間の利用法も重要なポイントです。装飾性と賞玩の機能を兼ね備えており、収・納・蔵の面白味溢れる変化が生かされ、多くの収蔵品を一度に観賞することができます。

 以前は「多宝格」と言えば、紫禁城乾清宮にあった、多種多様な古玩を収納するために壁面全体に備え付けられた大型の棚を指し、「多宝」という形容表現は、ありとあらゆる古玩を収納するという認識にも合致しています。開架式で古玩を陳列した「格」(棚)であれ、収納箱の限られた空間に最多の古玩を収納した「百什件」であれ、これらの形態を異にする古玩の収蔵を、国立故宮博物院では「多宝格」と総称しています。重要なのは、工匠が工夫を凝らした収納の仕組みや仕掛けが、古玩の陳列や収納空間に最適の組み合わせとなっていることです。

 「収」・「納」・「蔵」は「多宝格」の制作と空間設計における三つの核心的要素であるため、三章に分けて展示を行います。第一章「収」で展示する名前のある箱型多宝格は、収蔵者が貴重な宝物を一つにまとめた代名詞のようなものです。第二章「納」で展示する形態が異なる多宝格は、古玩の収納に用いられている様々な仕組みや仕掛けがポイントで、限られた空間に最多の古玩を収納し、収蔵者に宝探しのような楽しみも与えてくれます。第三章「蔵」で展示する大型と中型、小型の多宝格は、開架式で古玩が陳列されており、こうした収蔵と展示の手法が、「蔵」に対する新たな解釈となっています。この三章を通して、古代の空間設計師が見せてくれる数々の驚きや喜びをお楽しみいただけるでしょう。

TOP