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 形状の異なる5組の百什件によって、「納」という概念を強調した展示となっています。仕切り板や引き出し、隠し引き出しなどを生かし、限られた空間にできる限り多くの古玩が収納されており、ミニサイズの古玩を座らせたり、横向きに置いたりして、箱の中に収めてあります。こちらのコーナーでは、模型や様々な形状の百什件を用いて、収蔵の機能と概念に重点を置いた展示となっています。時空を超えて、古代の人たちと一緒に宝探しをしているような気分になれるでしょう。

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    • 清 乾隆 九屜木匣
    • 清 乾隆 九屜木匣
    清 乾隆 九屜木匣

    清 乾隆 九屜木匣

     乾隆11年(1746)の『活計档』によれば、養心殿前殿東暖閣には、一対の大きな棚があり、乾隆帝はその正面に古玩を並べるように命じたという。また、比較的薄い古玩の棚の後ろに引き出しを設けて、「百什件」のように組み合わせるよう指示したとある。嘉慶朝陳設档案と対照すると、この紅玉挿屏は南側の棚にあったもので、比較的薄いことから、その後方は南側の九屜木匣だったに違いない。

     九屜木匣には60組の文物が収納されている。どの引き出しにも木製の内引き出しがあり、引き出し内の広さに合わせてまた別の引き出しが作ってある。例えば、内引き出しの中にまた小さな引き出しがあり、その小さな引き出しを取り出すと、その傍らに隠し引き出しがある。また、小さな引き出しの仕切りは引き出しの板が活用されており、そこにぴたりとはまる大きさの古玩が置けるようになっている。或いは横向きの引き出しによって上下の空間が仕切られ、引き出しの板によってまた段状に上下が重なるようになっており、そこに古玩を置くことができる。もちろん、全体的に見ると、小型の引き出しと上下の引き出しという形になっているが、空間に変化を持たせると同時に、多様な造形の古玩が収納できるようになっている。

    • 清 乾隆 桌形木匣(「外出楠木摺畳百什件桌」)
    • 清 乾隆 桌形木匣(「外出楠木摺畳百什件桌」)
    清 乾隆 桌形木匣(「外出楠木摺畳百什件桌」)

    清 乾隆 桌形木匣(「外出楠木摺畳百什件桌」)

     各地を遊歴するのを好んだ乾隆帝は、遠出の際に用いる桌(机)にもかなりのこだわりがあった。乾隆6年(1741)の『活計档』を見ると、乾隆帝が「外出楠木摺畳百什件桌」の制作を命じたことがわかる。本院では確かに「炕几」とも言われる、「楠木製の低い机」を所蔵しており、この机は足を取り外して、大きな引き出しに収納できる。その引き出しの内部には「百什件」のような仕切りがあり、様々な物が入れてある。筆や墨、硯、紙鎮、水差しなどの各種文具のほか、花瓶などの美しい文玩もいろいろと収納されている。巡幸中の乾隆帝が文章を書いたり、絵を描きたくなったりした時、この桌を組み立てて中の品々を取り出し、自由に創作したり、文物を賞玩したりした姿が容易に想像できる。その贅沢で優雅なひと時が、ここに体現されている。この「百什件」の大きな引き出しは机の足が収納できるだけでなく、外出中に使うかもしれない文房に賞玩用の文物も組み合わせてあり、自給自足の小さな書斎となっている。

    • 清 乾隆 紫檀博古図長方匣
    • 清 乾隆 紫檀博古図長方匣
    • 清 乾隆 紫檀博古図長方匣
    清 乾隆 紫檀博古図長方匣

    清 乾隆 紫檀博古図長方匣

     紫檀製の外盒は精細な彫刻─様々な古玩の博古図で装飾されている。外盒を開けると、紫檀で作られた内引き出しがある。引き出し上部の縁は浅浮き彫りによる四季の花々が填金されている。長辺の面には鹿と鶴が浅浮き彫りされ、「鹿鶴同春」を象徴している。左右両面の板は浅浮き彫りによる透かし窓があり、瓢箪や蝙蝠、方勝(菱形を重ねた伝統的模様)、芭蕉など、吉祥を意味する各種の模様や文人らしい雅趣を表す模様で装飾されている。この透かし窓から、材質も様々で、造形も多種多様な小さい古玩が見える。その板を扉のように開くと、いろいろな古玩がぎっしりと収納された小さな棚が現れる。小さな棚の仕切り板は全て引き出せるようになっている。どの古玩にも木製台座が付いており、底の板にぴたりと密着している。このように「百什件」と多宝格の概念を融合させた箱は空間設計に奥行きがあり、一般的な「百什件」とは違い、陳列棚の変化という楽しみもある。

    • 清  乾隆 紫檀嵌彩磁博古図小櫃
    • 清  乾隆 紫檀嵌彩磁博古図小櫃
    清  乾隆 紫檀嵌彩磁博古図小櫃

    清 乾隆 紫檀嵌彩磁博古図小櫃

     このミニサイズの頂箱櫃は棚が上下に分かれている。頂箱櫃は古代の家具の一種で、紫檀で作られたものが多い。正面の紫檀の骨組みには全て銀糸がはめ込まれ、彩磁の博古図がパネル状の装飾となっている。上下の棚を開くと、中には玉璧冊頁と木製引き出しが入っている。その正面は紫檀を浮き彫りした、様々な吉祥模様で装飾されている。内部には多種多様な材質の古玩─犀角や彫刻、銅器、磁器、玉器、書画、日本の漆盒、西洋の懐中時計がある。通常の引き出しと隠し引き出しが交錯する中に空間性が感じられる。それに各種の古玩が組み合わさり、いろいろな形の台座も相まって、「百什件」の多様性を見ることができる。

     「百什件」の外観は異なる形態の家具や箱盒にできるが、内部は全て「百什件」の空間概念によって古玩が収納されている。

    • 清  乾隆 紫檀嵌宝箱
    • 清  乾隆 紫檀嵌宝箱
    • 清  乾隆 紫檀嵌宝箱
    清  乾隆 紫檀嵌宝箱

    清 乾隆 紫檀嵌宝箱

       この外盒は牙骨象嵌の外箱に影響を受けており、模様が酷似している。両者の違いは、この作品には螺鈿や蜜蝋、牙骨など、多種類の材質が使われている点にある。外盒の上部にあったはずの題籤はすでに失われている。紫檀の木箱を開けると、2層になった「百什件」の木製引き出しが現れる。層を分割する仕切り板によって、上下と左右の空間が分けられており、その中には様々な素材で作られた珍玩がある。2層の木製引き出しの下は、二つの方形の箱に分けられる。一つは上層が引き出しのような箱になっており、中に古玩を置くことができる。下層は透かし窓のある棚に古玩が陳列できる、四つの方形となっている。もう一つの方形の上層の箱は引き出すことができ、下層は蝶番で方形の箱が繋げてあり、列車のような形になっている。その中には材質の違う7点の古玩が収納してあり、透かし窓は小さなほぞで固定されている。工夫を凝らした、面白み溢れる設計となっている。

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