収納とコレクション
この度の特別展で展示される琺瑯彩磁と風格が近い洋彩磁は、保存及び管理という角度から文物伝世の過程を整理すると、乾隆帝が手ずから収蔵した、その軌跡を辿ることができます。造辦処の公文書に見られる情報から、乾隆帝は即位後間もなくして、紫禁城にあった文物の整理・点検作業を始めたことが知れます。その作業を進めつつ、乾清宮に専用の場所を設けて、清代康熙朝(1662-1722)、雍正朝(1723-1735)、乾隆朝の作品を含む画琺瑯器を収納しました。このことは、康熙帝がことのほか重要視していた画琺瑯工芸技術を乾隆帝が継承したことを示しています。また、当時新しく制作された器物も収納されたことは、眼前にある技術や文化を拡充、推進しようとした意図が感じられます。
錦上添花
やや薄い色の地模様に主題の模様を組み合わせ、錦織りに刺繍で模様を入れたかのように、美しい花々で埋め尽くされた模様を「錦上添花」と言います。公文書によれば、乾隆5、6年(1740、1741)頃、錦上添花はすでに琺瑯彩や洋彩磁器系統の作品によく見られる紋飾となっていたようです。基本的に、洋彩磁は錐画による鳳尾草の図案が非常に多く、琺瑯彩磁は剔彩や筆描、貼絵などの変化が見られます。いずれにしても、可能な限り丹念かつ細緻に表現された、溢れんばかりの花々のイメージはこの時代特有の風格です。