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巾箱走四方

書店で値上がりを待って売られる巾箱本は、机に向かって文人が熟読する小書板なのか、それとも宮中の棚板に陳列される帝王御覧の袖珍本なのか、そして内容はどのようなものなのでしょう。例えば歴代の文人が買い求めて収蔵した巾箱小冊の種類、及び性質から見ると、学者が徹夜をして読む経書と歴史書や科挙のための書、文人が机で自らが思う処を詠む詩文、随想録や書簡、士大夫が家に常備している類書、及び医薬処方箋に分けることができます。彼がもし余暇に演義や民間の戯曲を楽しむように、万里の道を行く時の必需品である旅の指南書などもまた、文人が身につけるバッグの主要なものだったのです。

科挙は、官吏の採用試験制度で、受験者は、かつて故意に、試験用の本「懷挾本」或いは「夾袋(夾帶)冊」を作成し、それを試験場に持ち込み、カンニングの道具としました。懷挾本や手ぬぐいに書き写したり、書き写しをポケットの隙間に入れたり、或いは筆の柄に隠したり、或いは硯の底、靴や足袋にも見られました。書籍は已に版形式ではありませんが、機能と夾小板はほぼ同じです。宋から清に至るまでの間、この種の巾箱本が出現したために作られた小抄書は、国家採用試験の体系の中で、もう一つの試験場へ持ち込む文化が形成されたのです。

  • 婺本点校重言重意互註尚書

    宋刊巾箱本

  • 詳註東萊先生左氏博議

    明刊巾箱本

  • 乾隆南巡紀程図

    清写絵本

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