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世界との邂逅

十七世紀の東洋と西洋の接触と衝突は双方の更なる理解と交流を促しました。世界に対する理解の変化は、文化要素の転換と重訳、及び工芸品の間に於ける模倣と創造であり、交流の過程で特に人の眼を引く部分となっています。西洋からやってきた地理の知識は、地形や交通に対する認識を変え、斬新な世界観を呈する世界の新たな姿を促し成就させました。版画の中の透視図法は、当時の西洋絵画の西洋絵画に対する技巧の認識と応用を体現し、東西が融合し一景の中に収められています。また遥か遠い欧州に渡った中国の景德鎮と日本の有田燒の磁器は、一方では欧州や中東の重要な工房の磁器の製作と発展に影響を与え、新興の器用の風潮を形成しました。もう一方では大型の瓶(広口で胴の張った容器)と缶(口の狭いものやは器形が細長いもの)の裝飾磁器も欧州の宮廷、土地のボス、封建貴族などの家庭で、最も経済的実力を誇示することのできる室内装飾品となり、別に一派をなす時代の風貌を繰り広げました。

清 十七世紀下半葉—十八世紀上半葉

青花纏枝菊花紋蓋缶

  1. サイズ:通高52cm 口径20.8cm 底径21.5cm

青花纏枝菊花紋蓋缶

日本 有田窯

青花釉上彩花卉紋瓶、缶五件組

  1. 蓋缶サイズ:高58cm 径32.5cm
  2. 觚形瓶サイズ:高43.3cm 径20.2cm
  3. アムステルダム国立美術館蔵

ヨーロッパで流行した日本の彩磁器は、全てが柿右衛門の手によるものではなく、柿右衛門の作品に類似したものもあります。市場占有率がより大きいのは、大胆な裝飾風格を有する伊萬里焼き(Imari ware)です。この名称は、これらの磁器が伊万里港で積まれ、出港したことからその名が付きました。伊萬里焼きの色合いの基本は藍色(釉薬の下に彩色、相対して柿右衛門磁器の藍色は釉薬の上に彩色)で、赤と金色(全て釉薬の上に彩られている)は、時にはその他の琺瑯で補っていました。その特徴は大きな図案装飾で覆っているため磁器の白い表面は殆ど見えず、風格は柿右衛門の作品とは明らかに異なっています。伊万里焼の価格は比較的安く、風格がユニークで且つ極めて装飾性に富んでいます。このため、ヨーロッパで非常に人気が高かったのです。

青花釉上彩花卉紋瓶、缶五件組

姑蘇閶門図(左)

  1. サイズ:縦108.6cm 橫56 cm
  2. 日本 海の見える社美術館蔵

三百六十行図(右)

  1. サイズ:縦108.7 cm 橫55.6 cm
  2. 日本 海の見える社美術館蔵

左側の作品〈閶門図〉の題字は甲寅(1734)年の款があり、蘇州金閶一帶の交易で繁盛している有様を描写しています。右側の作品(三百六十行図)の構図と相接しており、恐らく一組の作品なのでしょう。画中では西洋の透視を引用し、水墨版を主として彩りを加えており、雲や群がっている樹木などは銅版画風を模倣した跡が見られます。

姑蘇閶門図、三百六十行図