江戸浮世の美

　浮世絵は東アジア文化圏において地域を超えたモチーフの交流を展開しただけでなく、その制作過程においても極めて高度な工芸技術や創造性を発揮しました。多色刷りによって精美な色彩と奥行きの深さが生み出され、構図においても優れた構成力や熟練度が見られます。旅行ブームが高まるにつれ、風景画というテーマは時空を超え、日本各地はもちろんのこと、台湾などの地へまで広がりを見せ、浮世絵は世界各地の文化を結びつける視覚的な媒体となったのです。これらの作品を通して芸術と地域の対話が始まり、観る者に江戸の都市文化や国際交流などを多角的な視点から理解する機会を提供してくれます。