四方の民族音楽
展示作品 1
宴の音楽は慶隆舞などの伝統楽舞だけでなく、その後に朝鮮国俳楽や察哈爾楽(モンゴルの音楽。笳を奏でる番部による合奏)、瓦爾喀部楽、回部楽、番子楽、廓爾喀楽、安南楽、緬甸楽などが演奏された。
『楽志』には、清太宗文皇帝(皇太極 在位期間:1636-1643)が朝鮮国楽を宴の音楽(笛1、管1、俳鼓1、楽器を含む)に取り入れたと記されている。「俳鼓」とは、黄色いビロードのひもを首にかけて演奏する楽器で、唐代の杜佑が編纂した『通典』によれば、高麗の楽器だという。
展示作品 2
展示作品 3
展示作品 4
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火不思(楽器名)
『皇朝礼器図式』卷九収録
允禄等奉敕撰
清乾隆31年(1766)武英殿刊本
故殿024315詐馬・什榜・相撲・教駣は「塞宴四事」と言われ、宮廷が塞外で催した宴で披露された娯楽性の強い演目である。「什榜」は音楽の一種で、モンゴル音楽の名称である。古代から現代まで「十番」とも言われ、宋代の楊万里の詩には「全番長笛横腰鼓、一曲春風出塞声。」(辺境の兵士らが長笛を吹き、腰鼓を叩いている。春風のような塞外の音楽である。)と表現されている。清朝楽部が設置した什榜処(什幫処とも言われる)は、清朝宮廷で上演されるモンゴルの音楽を管理する部門で、その演奏には笳や管、箏、琶、絃、阮、火不思などの楽器が使われた。
「火不思」は弦楽器の一種で、現在は撥弦楽器に分類されている。小型の琵琶のような形で、棹は真っ直ぐで弦は4本ある。『皇朝礼器図式』には「燕饗番部合楽」の楽器として記されている。