灯輝綺節─絵で観る元宵節と飾り灯篭 特別展,展覧期間  2018.1.1-3.25,会場 210
灯輝綺節─絵で観る元宵節と飾り灯篭 特別展,展覧期間  2018.1.1-3.25,会場 210
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新しい年を迎える喜び

正月の1日目を「歳朝」と言い、この日に全ての物事が新しく始まります。「歳朝」を主題とした吉祥画には椿や蝋梅、水仙、南天、霊芝など、新春にふさわしい植物と花々が描かれており、新年を迎えた喜びが画面に満ち溢れています。春の花々のほか、年始の挨拶回りをする人々や庭ではしゃぐ子供たちなど、正月らしい光景も描かれています。歴代の画家による歳朝図は「元旦開筆」(筆始め)の意味もあり、新しい年の平安無事や幸運の到来を祈ったものです。

宋 趙昌

歳朝図

  1. 形式:軸
  2. サイズ:103.8 x 51.2 (cm)

この「歳朝図」には梅の花や椿、水仙、長春花(日々草)など、新春を彩る花々が描かれている。色遣いは鮮明で美しく、硃砂や白粉、胭脂、石緑が使われており、そこに石青の地色が加わり、絢爛豪華な画面となっている。圧縮されたような構図には奥行きがあり、上に向かって層を重ねるように描かれている。手前に見える地面と複雑に交錯する植物が画面全体を覆いつくし、自然の眺めが図案的な美へと転化されている。色とりどりの煌びやかな画面は装飾性が高く、「歳朝図」が表す吉祥の意にふさわしい。

趙昌(10-11世紀の間)、花卉画を得意とした画家。毎日早朝から風景画を描き、自ら写生と号した。この作品には「臣昌」2文字の落款が見えるが、筆墨や画風から推測すると、宋代以降の画家が趙昌の名を借りて制作した作品だと思われる。

伝 宋 趙昌 歳朝図

緙絲 新韶嬰戯

  1. 形式:軸
  2. サイズ:82.8 x 74.8 (cm)

緙絲は簡素な平織り用の機で制作する織物で、「通経断緯」という方法で織られている。まず機に張った「経線」(縦糸)に筆で下絵を描き、画稿を元に梭子(杼)を使って様々な色の「緯線」(横糸)を「経線」に通して模様を織り出す。模様の縁に鋸の刃のような隙間ができることから、「刻絲」とも言われる。

この作品は赤の地に色とりどりの糸で模様が織り出されている。画面を埋め尽くす縞模様の庭石と牡丹の花。花は大きいが複雑な表現が見られる。新しい春を迎えた正月に、花々に囲まれた10人の子供たちが楽しげに遊んでいる。官服姿の子もいれば、使用人や馬夫の服を着た子もいて、小吏が鑼を打ち鳴らして道を開けさせ、官員が巡視に向かう場面を堂々と演じている。ユーモラスなだけでなく吉祥の意味も込められている。

伝 宋 緙絲 新韶嬰戯