灯輝綺節─絵で観る元宵節と飾り灯篭 特別展,展覧期間  2018.1.1-3.25,会場 210
灯輝綺節─絵で観る元宵節と飾り灯篭 特別展,展覧期間  2018.1.1-3.25,会場 210
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新年の伝統行事

新年は一年の中で一番大切な祝日です。旧暦12月に行われる冬至の祭天(天を祀る儀式)、臘八節(春節を迎える前に厄除けや豊作を祝う祭事)などの行事で祖先や神仏に祈りを捧げ、祭灶(かまどを祀る祭事)や神を迎える儀式も行われます。また、「除夕」と言われる大晦日には厄除け、祭祖(祖先を祀る)、分歳(祭祖の後、一族揃って食事をする)、守歳(大晦日から元旦まで夜明かしする)などが行われます。そして、爆竹の激しい音で正月を迎え、新しい年の訪れを祝います。正月の最後に催される元宵節の灯篭見物までが一連の正月行事となります。こうした新年の行事は天地の神々や万物に感謝と祈りを捧げ、家族や先祖に思いを巡らせ、物事の原点を常に忘れずに思うなど、文化の伝承でもあります。古代の画家も様々な視点から新春の光景を描いています。絵を見ると、各種行事や習俗の様子がよくわかり、どの作品にも新春の喜ばしい雰囲気が満ちています。

明 呉彬

歳華紀勝図 大儺

  1. 形式:冊
  2. サイズ:29.4x69.8 (cm)

呉彬、万暦年間(1573-1620)の画家。特異な姿の人物画で知られ、一派をなした。

「大儺」は大晦日に行われる厄除け招福の儀式で、仮面をかぶって判官や土地の神などに扮装し、町の外に魔を追い払う。銅鼓を打ち鳴らして病魔を払う習俗もある。この絵を見ると、橋の上には災厄を払う隊列がおり、その内の2人は踊りながら奇怪な出で立ちの「儺」に扮している。ほかの4人は「天神と地神」を乗せた輿を担いでいる。橋の袂には鑼を叩きながら隊列の先頭を行く者がいて、太鼓を担ぐ者やそれを打ち鳴らす者の姿も見え、にぎやかに執り行われる「儺」の情景が描かれている。人物の姿形は陶人形のようで、全体に写実性は低いが、よく見るといたるところに変化に富んだ描写がある。

明 呉彬 歳華紀勝図 大儺

清 劉権之

万戸春声

  1. 形式:冊
  2. サイズ:12.8 x 16.8 (cm)

劉権之(1739-1818)、乾隆25年(1760)に翰林学士となり、官は大学士に至った。書画ともに優れていた。この作品は『億春書瑞』冊の第一開で、正月の情景が描かれている。家屋が林立する町を取り囲む城郭が連綿と続き、その眺めに遠山が映え、山際には雲霧が立ち込めている。川岸には爆竹で遊ぶ子供たちの姿も見える。隣近所の人らと互いに新年の挨拶をする様子は、「いずれの家でも新年をにぎやかに祝い、通りには年初めの挨拶を交わす人々がいる」─春節の活気溢れる情景そのものである。全体の着色は淡く風雅で、線は簡略化されており、画家が思うままに筆を揮った自然な筆致で描かれている。

清 劉権之 万戸春声