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展示概要

 范寛(950頃-1032以降)「谿山行旅」、郭熙(1023頃-1087以降)「早春図」、李唐(1049頃-1130以降)「万壑松風」は、故宮を代表する「故宮三宝」とされ、2012年3月に文化部により国宝に指定されました。この3作の巨幅立軸は、それぞれが北宋時代の「巨碑式」山水画を代表する典範で、実際の風景を忠実に描いたのではなく、自然に対する静かな眼差しと深い理解を通して、再構築された理想的な山水の典型なのです。

 画上に残された制作年から推算すると、時代が最も近いのは「万壑松風」(1124)で、今から897年前の作品です。「早春図」(1072)は今から949年も昔の作品で、「谿山行旅」は制作年が記されていませんが、千年以上前の作品です。これら3点の国宝は時代が古く、素材の絹本も傷みやすいので、貴重な作品を保護するために、光線に照射される時間を出来る限り減らしています。展示の際は前回の展示から3年以上空けなければならず、展示日数も42日以内に制限されています。本年(2021)の10月6日から11月16日まで、故宮北部院区の改修工事が行われる前に、「故宮三宝」を展示する特別展を開催することとなりました。前回は「国宝総動員」(2011)で三宝が一堂に展示されましたが、すでに10年も前のことですので、今回の特別展にご期待ください。

 この度の特別展では、故宮を代表する国宝3点のほか、この三家の風格から影響を受けた作品9点を別の陳列室で展示します。元代から民国にかけて描かれたこれらの作品は、いずれも後人が古代の作品から学びつつ、新たな創造を行った時代的な特徴が見られます。これら後世の模倣例からは、三家の画風が伝承されていった道筋を具体的に辿ることができるだけでなく、山水画史上における范寛、郭熙、李唐の崇高な地位を確固としたものにしています。展示エリアでは、超高画質8Kによる国宝3点の映像のほか、マルチメディアアート「絵の中をゆく」、アニメーション「筆墨の旅」などの映像も合わせて放映されます。これらの多元的な展示内容をご覧になった後に、天下の名跡である国宝が眼前に現れた時、三宝の魅力を心ゆくまでじっくりと、あますところなく堪能していただけるでしょう。

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