水の中の生き物

みなさんは水族館に行ったことがありますか?水族館にはいろいろな魚やエビ、カメがいます。みんな元気いっぱいで、見ていると楽しくなりますね。昔はカメラもスマホもなかったので、見たことのある水の中の生き物を筆で描いて記録しました。本物そっくりの絵もあれば、ちょっと大げさに描いたり、形を変えたりした絵もあって、とてもおもしろいです。昔の人たちはどんなふうに水の中の生き物を絵に描いたのか見てみましょう。

  • 清人 魚藻 成扇
    清人
    魚藻 成扇

    この二つの丸いうちわには、黒い出目金と赤い出目金が本物そっくりに描かれています。ぼかした色や水草を使って、水の中で金魚がゆうゆうと泳ぐ様子が表現されています。丸いうちわの形がちょうど額縁のように見えて、拡大鏡で水の中を見ているかのようです。泳ぎ回る金魚の動きが、動かないうちわの中に閉じ込められています。絵を見るだけでも楽しいし、使いやすいし、とても便利なうちわです。

    このうちわには、絵を描いた人の名前が書いてありませんが、うちわの柄についている黄色い紙に、「馬駿」と「徐国祥」が贈ったものだと書いてあります。この二人がどういう人なのかはよくわかっていません。中国の清代、同治年間から光緒年間にかけて、宮廷の如意館というところで宮廷画家をしていたことはわかっています。絵の描き方も清代宮廷の伝統的な表現を受けついでいます。

  • 清 華嵒 写生冊(二) 蛙戦
    清 華嵒
    写生冊(二) 蛙戦

    この絵には池の片すみが描かれています。2匹の大きなカエルが大きく口を大開いて目を見開き、ケンカをしようとしています。黄色いカエルのお腹の下には、もう1匹小さなカエルがかくれています。お母さんのカエルが子供を守っているように見えます。もう1匹いる同じ色の小さなカエルは、お母さんカエルの方にやって来るところで、ケンカをしているお母さんを助けようとしているみたいです。それから、緑色のカエルのそばにも、もう1匹別の小さなカエルがいて、大さわぎしながらおうえんしているように見えます。静かで動きのない絵のように見えますが、とてもにぎやかで、きんちょう感があります。

    カエルの身体の色や形は、タイワントビアオガエルに似ています。でも、吸盤のある足は人の手のような形になっていて、指の先がとがっているし、前足は5本指になっています。この「蛙戦」(カエルの戦い)という題名は絵にぴったりです。

  • 民国 胡克敏 禾蟹図
    民国 胡克敏
    禾蟹図

    胡克敏(1909-1991)は江蘇武進(今の江蘇省常州市武進区)出身の画家です。名前のほかに鉄骨翁、漾碧軒主などの号(本名のほかに使う名前)があります。民国38年(1949)より後に、台湾で暮らし始めました。

    この絵は筆の毛が開いたり閉じたりする特性を利用しています。それから、筆を動かす時に色が濃くなったり、薄くなったり、かすれたり、水が多かったりして、墨の色がいろいろ変化する特徴を生かして、カニの様子がとても上手に描かれています。薄い茶色のはさみは、チョウゴクモクズガニの特徴です。一番上の方にいるカニのお腹には、「王」という字が書いてあります。カニの王様が命令を出しているようで、画家のユーモアや工夫が感じられます。地面に落ちている稲わらや稲穂を見れば、この絵の季節はお米がとれる秋だということがわかります。

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