十二支のお話

「十二支」は、アジアで広く知られている文化の一つです。私たちが生まれた時から始まるいろいろな習わしと、十二支の動物たちは深い関わりがあります。大昔、玉皇大帝(中国の神様)は、自分の年がよくわからなくて困っている人間たちのために、動物たちに「十二支」を決める競争をさせて、早く着いた順にその動物の年を決めることにしました。この昔話の主人公はネズミと猫と牛です。ネズミは寝ている猫を起こそうとしましたが、ぜんぜん起きなかったので、しかたなく牛といっしょに出発しました。そして、ネズミはゴールの前で牛の背中からとびおりて一番になりました。そのせいで、ネズミと猫は仲が悪くなりました。この展覧会では十二支の動物の絵といっしょに、かわいい猫の絵もかざられます。白黒の水墨画ときれいな色の絵があります。昔の絵もあるし、新しい絵もあります。ぜひ皆さんも故宮に来て、いろいろな動物の絵を見てください。自分の干支の絵を探してみてくださいね。

  • 宋人 霖雨図
    宋人
    霖雨図

    絵の真ん中に、身体がくすんだ金色で四つ爪の龍がいます。もくもくした黒い雲でいっぱいの空中で、とぐろを巻いて浮かぶ龍は、左下の海中にいる蛟龍(水の中に住んでいる龍)を見ています。四つ爪の龍の身体は、うねうねと動いているように見えます。龍の身体の細かいところまでよく見ると、かたそうな白い毛がたくさん生えていたり、不思議な生き物の特徴がよくわかります。

    龍のイメージはいろいろな意味を表します。龍はおめでたい生き物で、帝王や皇室のしるしでもあります。大昔の本には、龍は水の神様の乗り物だったと書いてあります。もっと後になって、雨や海の水を操れる神様になったそうです。『西遊記』という本に出てくる龍王は、深い海の底にある龍宮に住んでいて、海の中の全てを取り仕切っています。

  • 清 金廷標 眠犬
    清 金廷標
    眠犬

    金廷標(?-1767)は清朝の宮廷画家でした。人物や風景、花の絵が上手で、乾隆帝のお気に入りの画家でした。この絵には、眠っている犬が水墨で描かれています。まあるくなってすやすやと眠る子犬がとてもかわいらしいですね。色の濃さが違う線で、眠っている子犬の耳やあご、しっぽが上手に描いてあります。細かい毛まではっきりと見えます。小さな絵ですが、画家の工夫がよくわかります。乾隆帝はこの絵に文章を書き入れて、すごくいい絵だとほめちぎっています。宋の時代の李迪という有名な画家と同じぐらいすばらしいと書いてあります。

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