清朝の宮廷で飲まれていた茶の種類はとても豊富で、文献の記載にその奥深さを知ることができます。また、茶を飲むときに使用された茶道具のうち、茶壷(急須)と茶碗の数が最も多く、磁胎、宜興胎、金属胎、玉胎など、さまざまな材質のものが見られます。中でも宜興茶器は喫茶に適していることから殊のほか愛され、皇室茶器を代表する存在と言えるでしょう。特に康煕帝は画琺瑯(描画七宝)工芸を好み、宜興の茶器に琺瑯彩料で絵付けさせ、宜興茶器に豊かな彩りを添えました。雍正帝も宜興の茶壷をこよなく愛し、磁胎で模倣したものを御窯に何度も焼かせました。また、乾隆帝は宜興茶器を特別に作らせたばかりでなく、髹漆(漆塗り)技法を茶壷に施し、ひと味違った美の趣向を感じさせます。