蓬莱はいずこ─仙山図 特別展,展覧期間  2018.7.1-9.25,北部院区 第一展覧エリア 会場 202、208、212
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修行と薬草採取・遇仙と昇仙

 山にこもっての修道は、凡人が俗から聖へと変化するための方法の一つです。山林には多種類の薬草や金属鉱物があり、衣食や煉丹に必要な資源が豊富にあります。道を得た者が不思議な縁に恵まれれば、聖なるものが存在する名山で仙人に遭遇し、経訣や天書を授かることができるでしょう。

宋 燕文貴 三仙授簡

  1. 形式:卷 絹本着色
  2. サイズ:縦 39.6 cm 横 327.7 cm

 この作品は無款だが、古い籤標に燕文貴の名が記されている。燕文貴(11世紀に活動)は宋太宗(在位期間976-997)時代の画院に仕えた、山水画を得意とした画家。しかし、本作には南宋時代の画風が見られることから、おそらく13世紀頃の作品だと思われる。
 松の木の根元にある洞窟内で裸足の三人が座り込んでいる。右側の人物はまげを二つに結い、ひげを蓄えているが、肌は子供のように色つやがよく、何も書かれていない紙を持っている。木の葉をまとった中央の人物は厳粛な表情を浮かべ、右手に筆を持っている。その傍らに硯が置いてある。厳かな面持ちの左側の人物は、上半身裸で長い髪を背にたらしている。この絵は道教の「洞天」という観念を表している。真に道を学んだ者のみが不思議な縁によって洞穴に入ることができ、道法や経訣を得ることができる。右側の人物は修道の士で、山中で仙人に出会い、仙人になる秘訣が記された天書を授かったのだろう。