国内外の文明史に見られる早期の「玻璃」(ガラス)は二酸化珪素を基質とし、発色作用や融剤となるその他の鉱物が加えられた後、焼結によって生じた非晶質の物質です。先秦時代の遺跡からはトンボ玉や不透明な焼結状管形器、塊状の象嵌器などが発掘されており、これらは全て原始的な玻璃の一種に分類されます。漢代から唐代、宋代を経て、玻璃は主に佩飾や容器、象嵌器などに用いられるようになりました。唐代から宋代、元代にかけては、数量は少ないながら陶磁器の器形や色合いを模した器が登場しました。
これらの品々はイスラム圏の玻璃器と深い関わりがあり、国外の玻璃器の影響が見て取れます。半透明の簪や釵(髪にさす部分が二股になった簪状の髪飾り)、墜飾(ペンダント)などは、人工的な焼成への試みを示しています。また、研磨や加工技術の向上によって玉のように光り輝く玻璃も誕生するなど、天然の宝石の色合いに近づけようとした意図が感じられます。