卓尼版甘珠爾
蔵経閣(蔵経楼、蔵経院とも呼ばれる)は、寺院内で大蔵経が保管されている場所を指します。このコーナーでは『卓尼版甘珠爾』の複製本を取り上げ、蔵経閣での保管状況を説明します。 『卓尼版甘珠爾』は甘肅卓尼県の第十一代土司に任じられた瑪索貢布(漢名は楊汝松)が、康煕六十(1721)年にチベット族の高僧を招き、南京版、理塘版およびチベットの各種の諸抄本を底本とし、校正しました。さらに、僧侶や職人ら数百人を集め、版刻に当たらせました。この結果、10年の歳月を経て雍正九(1731)年四月、三万五千余りの経典版が完成。卓尼県の禅定寺印経院で開印されました。この卓尼版は『蔵文大蔵経』の貴重な版本で、刊行数はごくわずかしかありません。さらに原版は民国十七(1928)年に焼失してしまいました。近年、蘭州の霊岩禅寺で複製されました。百八函で一組となっており、精巧に、そして美しく仕上げられています。この一組は霊岩禅寺の住職、欽則・阿旺索巴嘉措(chos mdzod ngag dbang bzod pa rgya mtsho)仁波切(尊称)から寄贈されたものです。