端陽コレクション
清朝宮廷では、風習に従って端午節に粽を食べたり、ヨモギを吊るしたりしたほか、端午節にふさわしい装飾品も用意しました。端午節に飾られた絵画や道具類の多くは、タチアオイやザクロ、菖蒲、ヨモギなど、季節の花や果物、龍舟競漕を描写したもので、端午節に喜ばしく、賑やかな雰囲気を添えてくれました。5月の一番目の午の日─太陽が天高く昇る日に、清朝皇帝の端陽コレクションを鑑賞しながら、清朝の端午節を想像してみましょう。
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煙雲集絵 天中水戯
宋 李嵩
故畫001247N000000011皇帝が百戯を競う様子を見物するための御座舟が描かれている。重檐十字脊や歇山、攢尖頂の2階建て楼閣が宙に浮く弧形の通路で結ばれている。高く重なる建物が天空の楼閣のように見える。
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元人天中佳景
元朝
故畫002055「天中」とは5月5日の端午節の別名である。この「天中佳景」には端午節の風景が描かれている。画中の花瓶には、タチアオイやザクロ、菖蒲など、5月の花々が生けてあり、枝に精緻な香り袋が下げられている。皿には粽やレイシ、ザクロなど、季節の花や果物、食べ物が盛られている。この季節はちょうど昆虫が繁殖する時期で、流行り病の多い夏にあたる。道教の霊符4枚と鍾馗の絵が画面上部に並んでいるが、これらは厄除けや魔除けを目的としたもので、絵に描かれるのは珍しい。
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象牙仙工船 蒔絵雄鶏盒付き
清朝
故漆000393
故雕000160象牙彫刻。船体が龍の形になっており、中央に3階建ての船室がある。左右両側にそれぞれ8本の櫂があり、甲板には欄干や牌楼、回廊もある。上下各所に16本の三角旗が立てられており、傘蓋も一つある。入口や窓は全て開閉できる。この龍舟は雄鶏形の蒔絵盒に収納されている。
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銅胎画琺瑯花草五毒盒
清 乾隆朝
故琺000995,000996全体が画琺瑯で装飾されている。地色は明るい水色で、蓋には桃色、黄色、青色、緑色を用いて菱形の幾何学的な模様と「五毒」─サソリ、ヘビ、ムカデ、ヒキガエル、クモの模様で装飾され、その間に様々な草花が散りばめられている。蓋と器身の側面は黄褐色の幾何学的な模様や、桃の実、蓮の花などの植物で彩られている。