天国の宝蔵─ローマ教皇庁所蔵文物特別展,展覧期間 2016年2月5日至2016年5月3日,陳列室 105、107
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東方への布教

フランシスコ・ザビエル(1506-1552)はイエズス会の創始者7名の内の一人です。1540年にローマ教皇パウルス3世(1468-1549,在位期間1534-1549)によってイエズス会が認可されると、ポルトガル王のジョアン3世(1502-1557)の求めに応じて、伝教のためにアジア地域へと旅立ちました。その後、カトリックはインドやマラッカ王国、日本などへ伝えられました。ザビエルは1552年に広東外海に位置する上川島で病により逝去し、中国大陸への伝教はついにかないませんでした。

ザビエルの死後30年間、明代から清代にかけて倭寇禁圧と密貿易取締りのために海禁令が発布され、宣教師たちも中国大陸での布教を果たすことができませんでした。1573年にアレッサンドロ・ヴァリニャーノ(1539-1606)がイエズス会東インド管区の巡察師となりました。ヴァリニャーノは直接的な布教方法に異を唱え、布教の前にその国の言語を学び、現地の社会風俗や民族性をよく理解するべきだと主張しました。それから9年後の1582年12月にミケーレ・ルッジェーリ(1543-1607)とマテオ・リッチ(1552-1610)の二人がついに広東の肇慶に到達し、「僊花寺」を建立しました。マテオ・リッチは韶州や南昌、南京、北京などを訪れ、最後は北京で生涯を終えましたが、中国大陸で過ごした間に士大夫達と交遊を持ち、知識を伝える形で布教を試みたほか、キリスト教徒の徐光啓などと協力して西洋の書籍を翻訳し、ヨーロッパの自然哲学や音楽、暦法、数学などの知識を紹介しました。マテオ・リッチとそれに続く宣教師たちは、カトリックの影響力を拡大しただけでなく、積極的に東西の交流と相互理解を促進させたのです。

フランシスコ・ザビエル(1506-1552年)の聖骨箱と聖遺物

  1. G. Vamona Modcoicar製作
  2. 1843-1900年 インド ゴア
  3. 銀、エナメル、木材、宝石、ガラス
  4. 長さ47cm 幅 40cm 高さ30cm
  5. バチカン 教皇儀典室所蔵

この聖骨箱は金細工師で宝石職人でもあったヴァーマナ・マドコイカ(G. Vamona Modcoicar)が1843年から19世紀末の間に完成させた。マドコイカの出身地パナジ(旧ノヴァゴア)はインドのゴア州の州都で、インド西南部の海岸沿いに位置している。マドコイカは聖フランシスコ・ザビエルの遺骨を納めた棺を縮小版を製作した。フランシスコ・ザビエル(Francisco de Xavier)はイエズス会の神父で、インドや日本などで伝教に努めた福音の使徒でもあり、宣教師の守護聖人でもある。1619年10月25日にパウルス5世(在位期間1605-1621)により列福され、1622年3月12日にグレゴリウス16世(在位期間1621-1623)によりイエズス会創始者のイグナチオ・デ・ロヨラ(Ignacio López de Loyola)とともに列聖された。ザビエルの遺骨を納めた銀製の骨壷はイエズス会士のマルチェロ・マストリリ(Marcello Mastrilli)によって製作が始められ、インドだけでなくヨーロッパ各地の芸術家の共作により、1637年に完成した。この作業に最も大きく貢献したのが、オランダ人のバレリアン・ルナール(Valerian Regnaer)だった。ザビエルの墓は旧ゴアに位置するジェズス大聖堂にある。より正確に言うならば、トスカーナ大公コジモ3世(1642-1723)がフィレンツェの彫刻家フォッジーニ(Giovanni Battista Foggini)に建造させた陵墓に安置されている。この陵墓は10年の歳月を費やして1698年に完成した。

聖この銀製聖骨箱は赤いビロードを埋め尽くすように宝石や模造宝石、琺瑯(エナメル)で装飾されている。聖骨箱の中にある鍵付きのガラスケースにザビエルの遺骨が収められている。骨壷の正面は上下2層に分かれている。下層は建築物の姫垣のようなものが並び、上層はドリス式の柱が並んでいる。赤や緑、紫の石に彩られる銀色の飾り窓は、小さなタイル状のパネルで装飾されている。この小さなパネルにはザビエルの暮らしが浮き彫りのように描かれている。聖骨箱全体が順に並ぶ立体的な天使の小さな彫像と花瓶で装飾されている。上部は屋根のように丸くなり、全体が透かし彫りのような模様で埋め尽くされ、色ガラスが彩りを添えている。上部は中央の装飾が高く聳えるように盛り上がり、最上部に宝石(コランダムと思われる)と緑の色ガラスで装飾されたラテン十字の十字架がある。大きめのシトリンが十字架下の装飾に吊り下げられ、盾のような形になっている。シトリンにはザビエルのイニシャルが刻されている。黒っぽい木製台座の四隅に銀製の脚があり、その下にある一回り大きな木製台座に固定されている。

木製台座銘文:
Ex ossibus S. Francisci Xaverii(聖フランシスコ・ザビエルの遺骨)
Joalharia Indo Portuguesa Vamona G. Modcoicar Nova-Goa (骨董品 ポルトガル領インド 製作者名 製作地)

フランシスコ・ザビエル(1506-1552年)の聖骨箱と聖遺物
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