天国の宝蔵─ローマ教皇庁所蔵文物特別展,展覧期間 2016年2月5日至2016年5月3日,陳列室 105、107
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祭壇

カトリックの祭壇は石材で作られたものが多く、教会の大切な典礼の数々は主にこの祭壇上で行われます。祭壇はキリストの象徴でもあり、カトリックのミサ聖祭では「主の食卓」とされます。神父は祭壇にイースト菌を入れずに焼いたパン(ホスチア)と葡萄酒を供え、パンをキリストの聖体、葡萄酒を聖血とします。この二つが信者らの魂の食料と精神の飲料になります。祭壇上とその脇に置かれたキャンドルは、キリストの光がこの世の闇を照らすことを意味しています。「主の食卓」は、キリストと弟子達がともにした「最後の晩餐」と、罪人のために命を捧げた偉大な神をごく自然に連想させます。

ピウス11世(在位期間1922-1939)の聖杯と聖皿

  1. 16世紀初頭
  2. 金・銀メッキ、ダイヤモンド、サファイア、エナメル
  3. 長さ28cm 幅18.5cm 高さ18.5cm
  4. バチカン 教皇儀典室所蔵

この聖杯は1877年のピウス9世司教聖別50周年記念の際に、フランスのムーラン教区の司教ピエール=シモン・ド・ドルー=ブレイゼ(Pierre-Simon de Dreux-Brézé)により進呈された。

この聖杯はフランスの建築家ピエール・ボサン(Pierre Bossan)が1867年に開催されたパリ万国博覧会のためにデザインした作品の一つで、リオンの著名な金細工師トマス=ジョセフ・アルマン=カリア(Thomas-Joseph Armand-Calliat)により製作された。ベネディクト16世はこの聖杯と聖皿を幾度も使用したことがある。2008年と2009年1月1日にバチカンのサン・ピエトロ大聖堂で執り行われた「神の母 聖マリア祭日ミサ」(Solemnity of Mary, Mother of God)、第41回と42回「国際平和デー」、2010年2月11日にバチカンのサン・ピエトロ大聖堂で執り行われた「ルルド聖母の記念日」(Blessed Mary the Virgin of Lourdes)、第18回「世界病者の日」に用いられた。この聖杯と聖皿は細工も琺瑯彩(エナメル)も非常に精細な造りで、宝石も象嵌されている。聖杯のボウルには赤い文字で福音が記されており、文字の上が青色で帯状に縁取られている。その下は白と藍色の地にブドウとブドウの蔓をデザインした浮き彫りで装飾され、正面中央に白と緑色をあしらった十字架がある。ボウルの下は六つの青い花で飾られている。柱状の脚は中ほどが球形になっており、浮き彫りの盾六つでぐるりと飾られている。緑の釉で縁取られた盾にはブドウとムギの穂の装飾があり、球体の下に六つのガーネットがはめ込まれている。台は花模様の琺瑯彩と浅浮き彫りで装飾されており、この聖杯の趣と豊かな装飾美を一層高めている。台は三つの半月で囲むようにデザインされている。その半月の中央に金銀メッキされた小さな彫像─聖杯を掲げるメルキゼデク、息子を捧げるアブラハム、羊を捧げるアベルが座している。その間に彫刻された花が半月形のスペースを繋いでいる。台座の縁はガーネットをはめ込んだ花の浮き彫りと青い小さな点を繋いだライン、立体的な六つの花で台座を囲むように装飾されている。台の下部に17という数字がある。聖盤は聖杯とは趣が全く異なり、半透明の琺瑯と彫刻で作られている。中央に光背を持つ子羊と復活を象徴する旗が描かれている。子羊が立つ丘からは4本の川が流れ出ている。この復活の子羊の図を中心にブドウの葉と花の模様で二重に装飾されている。その外側は、光背を持つ12頭の子羊が中央の子羊を見つめるように皿の縁に沿って丸く配置されている。子羊たちの円形の背景はトルコ石とアラビア風の花模様で装飾されている。

聖杯底の銘文:
(私はまことのブドウの木であり、私の父は農夫である。)

ピウス11世(在位期間1922-1939)の聖杯と聖皿
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