匠心筆蘊
展出時間 2015年7月18日至2016年1月10日,陳列室 104
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古今匠心─古今に通じる匠の心

古くから今に至るまで、版画製作過程の初めは、画家の考えがまとまり筆を下ろすのを待ち、版木に彫る画稿が決まった後、展開するイメージや成果は、完全に職人の心に頼ることになります。職人の心に二心はなく、ある職人は画稿通りのヒョウタンを複製し、勤めて原作に似せるように彫ります。また自分の思うがままに、縦横に彫り、全くの自己流の職人もいます。

本コーナーでは古代版画を基に創作した現代版画を通して、版画が伝統の融合から新機軸となるテーマや技法、製作までの歩みをご披露します。今日の版画作品は、すでに昔の書籍版画の様に図案を文で補う付属的な役割ではなく、独立した芸術作品の姿として新たな形態を展開しています。現今の版画創作者は、画家と職人の二つの身分を兼備しており、胸には「生活は素晴らしくあるべき」と言った信念を抱いており、思考を日常の小物に投入しています。私たちはこの類の版画作品の中から、今の時代の匠の心をはっきりと感じることができます。

夢遊園

  1. 技法:プラスチック版多版複刻、中国裱貼法、空圧浮き彫り法
  2. 創作年代:2015
  3. サイズ:47 x 40cm

夢の中の絵の様でもあり、屏風の様でもあり、まるで真の幻!
鶯鶯が視線をめぐらせ微笑むと百の媚態が生じ、春秋夏冬の四季が変わるに勝る。
麗しい娘が生き返って求愛し、再び春秋夏冬の多くの風情を愛でる。
驚きの夢、これは即ち雑劇と崑曲を混ぜた物で、餖版と拱花技法で再現している。
刻んだのは古今変わらぬ情愛への希望。描いたのは互いの想いと離別の無明の悲しみ。
書きたいことはバショウの木の下で愛でた琴の甘い生活であり、ロマンの蝶と化した無言のやるせなさ!
全て遙かなる昔の想い。想い馳せる文字と現象の間にあって、誰が梅を夢見て、誰が君に扮するのか!
花の間の石の隙間、百転千迴し心弦を繋ぐ紅い糸があり、流れる水は絶えず。
百年、今日,再び園に遊ぶ。

国立故宮博物院の委託受けて、版画『夢遊園』を創作した。その間幾度となく中国明・清両代の版画の特色を探求し、故宮に入って版画の珍本や収蔵品を鑑賞し、書籍や書信の間で先輩が終生、絵・彫刻・印刷の三種の芸術を追い求める非凡な成就の中で陶酔した。戯曲の雑劇の文字間にあって、ゆっくりと経典文学の中の曲折する情愛を推敲・詮索し、その結果先輩の生涯を掛ける情熱に押され、新たに文字と画像間の依存関係を構築することを決めた。

数多くの経典的絵や文の収蔵品の中で、自分が最も興味を抱いたのは、画家-陳洪綬の《西廂記》祕本中の「窺簡」の一折で、二人の主役と後の屏風間の巧妙な関連と多重する隠喩だ。そこで春夏秋冬の異なる景色を、新たに画面の中に構築することにした。これによって、屏風と空間の多く重なるところに物語の筋の中のクライマックスや異なる年代、相異なる原文、始終変わることのない愛情の結託を持って行く。最後は群れる蝶の舞いもアレンジし、記念として、たとえ愛情が実らずとも蝶に変化するロマンチックな描写とする。

夢遊園