皇家専用の様式
康熙朝(18世紀初頭)の試行錯誤や実験を経て、雍正6年(1728)に皇家の工房で琺瑯料の精錬技術が開発されると、これが琺瑯彩磁の研究開発において重要な節目となりました。これ以降は色数も増え、必要な物資も充実し、雍正帝も如何にして琺瑯彩磁器の風格や様式を改善し、発展させるかを考える余裕ができたのです。雍正帝が後押しする中、雍正朝(1723-1735)の琺瑯彩磁は「文雅」かつ「精細」な趣にこだわると同時に、市場に出回る一般の商品との差異化を図りました。皇家の職人たちは碗や盤などの食器類を画幅として、康熙朝から継承した花々の模様のほか、その才を発揮して山水や花鳥、風景、人物画を描き、詩文と絵、閒章の組み合わせを通して、前朝とは大きく異なる皇家特有の様式を確立したのです。