天朝の風格
イスラム世界には中国からもたらされた精美な器物が多数収蔵されていました。それにはコーランに用いられた洒金色箋紙も含まれ、細密画にも中国画の図像が見られます。中国産の物品や図像がイスラム美術に大きな影響を与えたことは、これらの実例からも明らかです。
- 白羊朝軍を破ったイスマーイール1世
- 南購畫000009
この細密画はイスラム地域の戦争について描写したものだが、雲彩などのモチーフから、中国美術が中央アジアと西アジアに残した足跡を見出すのは難くない。
- 明 沈周 写生冊 猫
- 故畫001128-15
沈周が描いた猫は顔と身体の輪郭が一つになり、可愛らしく丸まっている。トルコのトプカプ宮殿(Topkapi Palace)にも似たようなデザインの丸い猫の絵があり、イスラムの芸術家が中国の図像を模倣していたことがわかる。