展示概要
-
今年、台湾で開催される「台中フローラ世界博覧会」に合わせ、国立故宮博物院でも特別展「百卉清供─瓶花と盆景画」を開催します。目も心も楽しませてくれる挿花や寄せ植えが芸術と結び付き、絵画の美を通した、盛大に催される花博にふさわしい展覧会となることでしょう。古くから植物は芸術家たちのインスピレーションの源であり、樹木の枝や幹、花や葉の複雑な作りや多様な色彩美が、大自然の奥深さや季節の変化を伝えてくれます。植物は地面に直接根を張って自然に成長しますが、人工的に栽培することも可能で、室内に置いて眺めることもできます。また、植物を観賞したり、美術作品の題材にするなど、その楽しみ方は様々で、手折った枝の写生はもちろん、「瓶花」(挿花)や「盆景」(寄せ植え)もよく見られます。「瓶花」は文字通り、四季折々の花々を容器に挿し、はさみを入れてその姿やバランスを美しく整えます。「盆景」は樹木や草花を切り揃え、枝を縛って形を整えるなどしてから鉢に植え込みます。両者とも人為的な造形美に重きが置かれます。瓶花は六朝と唐代の仏教で始まった供花を起源としており、宋代から元代にかけて発展を遂げ、花の品種も大幅に増加し、栽培や植え付けの技術も成熟しました。それに加えて、陶磁器工芸も大きく発展したことから、切り花を花瓶に挿して楽しむ風潮が徐々に形成されていきました。その後、明代から清代にかけて園芸の人気が高まって大いに流行し、植物を育てて楽しむ文人たち、庭木や庭石の美感へのこだわり、相次いで上梓された数々の専門書などにより、盆景の更なる精緻化が促されました。
画意のある盆景と韻致に富む瓶花は、どちらも心を豊かにしてくれる風雅な楽しみです。中国語では「一朶の花にも世界があり、一枚の葉にも如来が宿る」と言われます。画家たちが描いた瓶花と盆景の絵には、観察力や創意溢れる美感が反映されており、伝統の豊かな民俗文化も象徴的に表現されています。この度の特別展では、故宮所蔵の佳作42点を精選して展示します。色とりどりの花々をご覧になりながら万物の美を感じていただき、いかにして自然環境と調和して共生すべきか、この機会にぜひ一度お考えください。