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炙艾図

この絵には「走方医」(民間の医者)が「艾灸」(もぐさを使ったお灸)で治療をする様子が描かれています。患者の背中に置かれたお灸からは煙が立ち上っています。患者はお灸の熱さをこらえきれずに、身体をよじって叫んでいます。患者を囲む三人が腕と足、肩を掴んでいなければ、治療も困難だったことでしょう。医者の助手は膏薬を用意しているところです。

この絵には六人の人物が描かれていますが、表情も動作もリアルに表現されており、とある田舎での医療行為がユーモラスに描写されています。作者は意図的に異なる線を用いてこの絵を描いています。均一な細い線で五官と髪、皮膚を丁寧に描き、「釘頭鼠尾描」という技法で庶民の衣服の皴だらけでガサガサした質感を表現し、墨をたっぷりと含ませた太い線で樹木の幹を、無数の短い弧線を並べて風に吹かれる木の葉を描いています。極めて高度な造形力と丹念な筆致から、南宋宮廷で制作された風俗画の傑作と推測できます。かつては宋代宮廷画家の李唐(1049頃-1130以降)の作品とされていたのも不思議ではありません。

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