Exemplar of heritage: Fan Kuan and His influence in Chinese Painting
Time 2015/7/1-9/29
フォントサイズ A A A

タイトル:范寛作とされる作品

范寛(950頃-1031の間)作と伝えられる現存の山水画は本院所蔵の「谿山行旅図」、「臨流独坐図」、「雪山蕭寺」、「秋林飛瀑」のほか、天津博物館所蔵の「雪景寒林」、ボストン美術館所蔵の「雪山楼閣図」などがよく知られています。

范寛(950頃-1031の間)作と伝えられる現存の山水画は本院所蔵の「谿山行旅図」、「臨流独坐図」、「雪山蕭寺」、「秋林飛瀑」のほか、天津博物館所蔵の「雪景寒林」、ボストン美術館所蔵の「雪山楼閣図」などがよく知られています。

宋 范寛 臨流独坐図

宋 范寛 臨流独坐図

画家の款印はないが、清代の記録では范寛(950頃-1031の間)が作者とされている。

大作の中央に堂々と聳え立つ主峰。その造型もまた雄壮さを感じさせる。山頂には樹木が生い茂っている。構図は明らかに范寛の「谿山行旅図」を継承したものだが、岩石の描き方だけは異なり、「雨点皴」ではなく、側鋒を用いて斧でかち割るような筆法に変えられている。更にそこが墨でぼかされており、「小斧劈皴」の概念がすでに備わっているのが見て取れる。川の流れに向かって独座する人物は簡略化されており、「谿山行旅図」に見えるロバの隊列ともイメージが異なる。以上の点を考慮すると、「臨流独坐」の制作年代は南北宋の間の李唐(1049-1130以降)により近い時代だと推測される。

宋 范寛 雪山蕭寺図

宋 范寛 雪山蕭寺図

作者の款印はなく、詩塘の王鐸(1592-1652)の題跋では范寛(950頃-1031の間)作とされている。

複数の高山が重なるように描かれている。山頂には樹木が密生し、その下の斜面は連なっている。山上には樹木が生い茂り、山間に古寺や関隘、清らかなせせらぎ、道行く旅人が添えられている。山勢はがっしりと力強く、整然としているが変化に富んでいる。墨で染められた陰鬱な曇り空が、雪山の寒々しい雰囲気をかもし出している。「谿山行旅図」に比べると、皴法と樹木の描き方に概念化した傾向が見られる。制作年代はもう少し後の時代だと推測されるが、范寛の風格は失われておらず、貴重な参考作品だと言える。