宮廷で愛された沈香には様々な使用法がありました。「香の道」では、本院所蔵の貴重な茄楠沈香を展示し、宮廷では日常、この種の稀少な天然資源をどのように使用していたか、清遠な香りを放つ沈香の収蔵から携帯、焚香まで、「収蔵と陳列」、「携帯用の香」、「香道具」─三つのコーナーに分けてご覧いただきます。
収蔵と陳列
宮廷では、茄楠沈香を彫刻した精緻な装飾品を好んで作らせました。沈香を使った大型の器物は非常に貴重なものです。こちらの展示品は全て、宮廷の工匠が精魂注いで制作した作品で、大半が乾清宮に陳列されていました。
携帯用の香
沈香は宮廷で多用されていました。宮中の人々は、手串や朝珠、扁方、香佩など、沈香で作られた精緻な装身具を好んで身に付けました。
香道具
宮中には「炉瓶盒三式」と言われる香道具があちらこちらに置かれていました。香を焚いてその香りを楽しむ道具です。炉は焚香、盒は香料入れ、瓶には灰を扱う際に使う鏟と箸が挿してあります。「炉瓶盒三式」の素材は玉や磁器、銅、琺瑯などがあり、工匠の見事な技巧も見られます。香を焚きながら変化に富んだ造形美も観賞できます。