于右任の書法とその成果は世に広く認められており、交遊関係も幅広く、その書を求める人々が次から次へと訪れました。そうした中で大量の作品が残されたのです。伝世の書蹟は古代の名作や中洋哲人の格言、自作の詩文などがあります。古典文学の素養も深く、その作品には改革精神が満ちており、時代の変化とも連動しています。また、于右任は革命を唱える文学団体「南社」の一員でもあり、来台以降は台湾の詩社とも密接に交流しました。このほか、扁額や看板、楹聯(入り口に張る対聯)など、公的または民間機関からの依頼も後を絶たず、現在まで使われているものも少なくありません。于右任は背景も付き合いの深さも異なる依頼に対して、使用する紙や書き方なども依頼ごとに考えて選びました。こちらのコーナーでは5名の寄贈者を例に、交遊関係や作品などの視点から于右任の作品についてご紹介します。