本博物院が収蔵する善本古書は214,500冊を超え、これらには宋代以降の各王朝で印刷された刻本、活字本をはじめ、名家による校勘本、原稿、古抄本、および少数の高麗や日本の刻本、抄本などがあります。数は決して多くはないものの、中に含まれる孤本や刊刻の優れた版本などは、中国伝統学術の源流と図書の印刷や装丁の発展を考証する一助となり、さらには後世に伝わる版本の校勘に供することができ、古代文献の保存と版本目録の学術学研究において重要な意義を有しています。
清王朝は建国後、前朝の明朝が残した宮廷の蔵書を受け継いだばかりでなく、その規模をさらに拡大しました。皇帝の著作や、臣下に編纂させた御纂、御筆、御製、欽定図書、また皇帝御覧のために外部で探し求めた貴重な孤本など、どれも素晴らしいものばかりです。このほか、本博物院は元北平図書館が所蔵していた明代の古書と地図をはじめ、清末に大使の随行員として日本に渡った楊守敬が日本で収集した珍しい漢籍や和刻本、および各界より寄贈された宋代と元代の善本、地誌、清代の詩文集なども収蔵しています。これらの優れた古書は、本博物院が収蔵する善本の不足を補い、中でも民間の出版物には書房の変化に富んだ印刷や質樸で落ち着いた様式が体現されています。
本展覧は「清宮蔵書」と「訪旧蒐遺」の二大テーマからなり、その下に幾つかの個別テーマを設けました。「清宮蔵書」では、清朝宮廷の膨大な蔵書とその分布、こだわりのある装丁などについてご紹介します。「訪旧蒐遺」では、故宮成立後に継続的に購入、収集した古書、寄贈された善本を中心に展示しています。この中には本博物院の収蔵を補完してくれるものや、文化や学術的価値を高く備えるものも数多く含まれています。本博物院はこの度の展覧のために、所蔵する大量の図書文物から逸品ばかりを選りすぐりました。これらの善本古書から、その歴史的変化や文化的意義、中国の伝統的な印刷技術、装丁の種類や特色を知ることができるでしょう。